「2050年の世界地図」は省エネに興味がある人には必読です!
最近読んだ本の中で環境関連では秀逸だったので紹介したいと思います。
副題は
「迫りくるニュー・ノースの時代」
ということで帯には「酷寒の環北極圏の国々がなぜ台頭するのか?」
とも書いてあります。それよりなによりこの本を読みたくなった最大の理由は
「有無を言わさぬ未来像がここにある」byジャレド・ダイアモンド
と書かれていたことです。
ジャレド・ダイアモンドといえば、何度も紹介したと思いますが
朝日新聞で
10年で一番読みたい本に選ばれ、ピュリッツァー賞もとった
環境に興味のない人でも読書家なら誰でも知っている
「銃・病原菌・鉄」の著者です。
この本も絶対必読の書ですが、この本の後に出た
世界中の歴史上の国々が滅びていった過程を
つぶさに調べあげた
「文明崩壊」も前著ほど売れていないにしても同様に
必読の書だと思います。
ジャレド・ダイアモンドの本を読んだ人ならわかると思いますが、
一人の人間がいったいどこまで博識になれるのだろうという感嘆があります。
しかもそんな彼が実際に世界各地に長年出向いて実地調査までおこなってい
るわけで、著書に重みが無いわけがないのです。
そんな彼がすすめるだけあって、期待が膨らんで読んだのですが、やはり
あたりの本でした。
地球温暖化の初歩的なことは知っているつもりでしたが、知らなかったことが
多すぎて読んでいるあいだ中、何度も目からうろこが落ちました。
なかでも
・これからの温暖化リスク分布図
・人口増と農村から都市への人口の流れ
・北極圏の重要性
・水不足をあらわした、世界の水ストレス分布
・危機的レベルへの温暖化は臨界点を超えるとほんの2,3年で進行してしまうおそろしさ
・地下水の汲み上げすぎによるアメリカの干ばつ
・自然エネルギーの中での水力発電のが持つ汚点
・海面上昇、ハリケーン、地盤沈下にさらされやすい世界の港湾都市上位20カ国に
大阪ー神戸間、東京、名古屋のすべてが入っていること
これ以上は書きませんが、本当に読んでおいたほうがいいような内容ばかりでした。
しかし、この本を読んで思うのは欧米の大学教授で有名な方々というのは本当に
頭がさがるほど、本を読み、勉強し、実際に動いて研究しているということ。
それにプラスして、自分の専門分野にとどまらない教養の広さを持ち合わせているのも
驚異的です。
世界地理はもちろんのこと、世界史、現代経済、政治・・・環境学の本のはずがあらゆる
方面の話が出てきます。著者は地理学の教授ですが、こういうのを英語でいうところの
リベラルアーツ(文理にとらわれず広く知識を身につけながら、創造的な発想法を訓練する教育システム)
なんだと思います。日本の大学の一般教養過程も本来はここを狙っていたんだと思いますが
少なくとも私の大学時代は完全に破綻していたと思います。
年功序列ではない、実力の世界で力を発揮する教授達の底力を感じる名著でした。