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はじめての方へ

松尾和也

幸せに暮らし続ける上で住宅に必要なこと

家を建てられた方11000人が不満に思う項目ワースト3は下記のとおりです。

1位:暑い 28.0%
2位:寒い 27.3%
3位:結露 15.0%

デザイン、間取り等満足する項目は人によって大きく異なると思うので、それは打合せによってそれぞれのお施主様にご満足いただけるように対応していきます。ただ、不満項目に関しては皆さんほぼ共通しています。

3位以下の項目で多いのが「光熱費が高いこと」。しかし、 断熱性能、気密性能、冬の日射取得、夏の日射遮蔽、空調計画の最適化を全て行えば、本来光熱費は引っ越し前よりも安くなるはずなのです。

耐震性能への不安なども上位に入っています。 30年以内に70%の確率で来ると言われている南海トラフ地震は耐震等級3(建築基準法の1.5倍の耐震性能)でなければ地震後に補修無しで住み続けることは困難です。これは構造の専門家の間では共通の見解です。

( 参照:https://mainichi.jp/articles/20160519/ddg/001/040/002000c
*この記事の「現行基準の1.5倍」というのが耐震等級3を指します )

大手住宅メーカーでは大半が耐震等級3に対応していますが、大手以外では耐震等級3を満たしている会社は非常に少ないです

残念なことではありますが、大手以外の住宅会社に関しては耐震等級3を実現している会社は10%を優に下回ると考えられますので十分ご注意下さい。 「○○工法だから耐震等級3はなくても大丈夫」といった誤魔化しトークには特に注意が必要 です。

ちなみに耐震等級によってどれほど壊れ方が違うかは下図がわかりやすいと思います。

熊本地震における木造住宅の損傷比率

大震災で自宅が半壊以上の壊れ方をすると、最悪の場合、ローンの残額が残った状態で、再ローン、もしくはローンを支払いながら新たな家賃を負担しなければならないという経済的リスクを追うことになります。

逆に高断熱の耐震等級3の住宅を建てていれば真冬に電気やガスがストップしても、我慢できる程度にしか室温が下がりません。1ヶ月以上続くであろう体育館でのストレスフルな避難生活のことを考えた場合、頑丈で快適な自宅がシェルター代わりになることは他に代えがたいことだと考えています。

住宅全体が暖かいことが健康に極めて重要なことが明らかになっています

ヒートショックで年間19,000人亡くなられているということは最近一般の方の間でもよく聞かれるようになってきたかと思います。この話をすると大半の方は「高齢になってからは暖かい住宅に住んだほうがいいだろうな」と考えるかと思います。

しかし、以前山口県立大学の医学部長と一緒に講演した際に「血管内のプラークは40歳過ぎから少しずつたまっていきます。よって若い頃から暖かい住宅に住むということが非常に重要なのです。しかし、医者の間でもこれを知っている人は多くはないのです」と話されていました。

このような生死を分ける重要事項以外にも、日々のちょっとした不快症状も断熱性が上がるほど改善効果が大きいことが近畿大学岩前研究室による2万人調査から明らかになっています。

この表内のグレード4というのが2019年現在で新築の約半分が満たしていると言われる水準です。5は当社及び、大手であれば一条工務店やスウェーデンハウスが満たしているレベルの断熱性能を表します。新築全体の5%を優に下回るくらいしかないと思います。

また、同じ岩前研究室の研究結果で下記のようなものもあります。

これは上記9個の症状について飲酒、運動、喫煙といった努力が必要な項目よりも、ただ住むだけの高断熱住宅の方が改善率への効果が大きいということを表しています。その結果慶応大学の研究結果によると暖かい家に住むことは家族一人あたり年間9700円の医療費削減効果があると試算されています。(保険負担率3割として)

どこの住宅会社のサイトを見ても「高断熱」「高気密」「省エネ」という言葉が目につくようになりました。私が高断熱をはじめた15年ほど前には考えられなかったことです。

皆さん、各社のカタログやウェブサイトを見れば見るほど混乱すると思いますが、客観的に比較するための見方を下記のページで紹介していますので、こちらも合わせてご覧ください。

しかし、これらの項目はあくまで手段であり決して目的ではありません。目的は「引越前より安い光熱費で家全体を夏涼しく冬暖かくしながら健康で快適に暮らす」ことです。そのためには「高断熱」「高気密」に加えて「冬の日射取得」「夏の日射遮蔽」「適切な冷暖房計画」が欠かせません。これらをトータルで上手に設計しない限り目的を達成することは難しくなります。

引き渡し後30年でかかる費用の比較

この表は仮に2500万円の住宅を松尾設計室、一流住宅メーカー、一般的な工務店の3とおりで建てた場合、かつ年中冬暖かく夏涼しい室内環境を維持した場合、冷暖房費、住宅ローン支払い費用、太陽光発電にかかるイニシャルコストと、発電によるメリットを30年間のトータルで比較しています。

実際にはこれほどの差がつくことは少ないと思います。なぜなら、右の二列で家を建てた場合、全室にエアコンを設置することはまずありえません。その時点で、家全体を暖かく、涼しくすることをはなから考えていないことになります。

また仮にそうしたとしても今度は冷暖房費が高すぎて維持することができません。よって結果的に暑さ、寒さをそれなりに我慢しながら暮らすことになることが一般的です。

しかしながら寒さを我慢した生活は医療費を引き上げますし、快適性の減少、さまざまな疾患のリスクの増加が伴います。それはコストに変換した上での比較が極めて難しい項目ですが、プライスレスの価値を持っています。

そのように考えると、やはり表の最下段にあるように1000万円以上の差が出るというの大袈裟ではないと考えています。予算に余裕がない方ほどこのようなトータルコストを重視した検討が必要になります。大半の住宅で築40年目くらいで維持費のトータルが工事費を超えてくるということはあまり知られていません。

築後年数とUA値の比較表の説明

冷暖房トータルコストと住宅性能の関係

一般の方だけでなくプロの工務店さんからも最も多い質問が「断熱性能はどこまであげればいいんですか?」という質問です。大半の工務店さんがこれが分からない理由は高断熱化することによって冷暖房費がどれだけ下がるのかを計算したことがない(できない)からです。これが計算できれば例えば「工事費は40万アップしますが年に4万冷暖房費を節約できるので10年で回収できますね」といった考え方ができるようになります。 このように考えて作ったのがこの表です。

国の基準(H25年基準)で建てると最初の工事費は一番安くなります。 しかしながら、入居後かかってくるトータルの冷暖房費は非常に大きな角度で上がっていきます。

それよりワンランク上のG1基準(UA値0.57以下)であれば工事費は少し上がりますが、冷暖房費の積み上がり方はかなり緩やかになります。

最後に最高ランクのG2基準(UA値0.46以下)まで来ると工事費は最も高くなりますが、冷暖房費の積み上がり方は最もゆるやかになります。

トータルコストは工事費+入居後にかかったトータルの冷暖房費で計算することができます。その年数において最もトータルコストが安くなるところを太線で引いてみました。

そうすると、10年程度までの期間は国の基準通りに建てた家がもっとも有利になります。10年から30年であればG1基準、30年以上であればG2基準が最も安くなることが読み取れます。

この計算は今後も電気代が一定という仮定で計算しています。しかし実際には経産省も示しているとおり、電気代は年率平均3%の割合で上がっていくと予想されています。そうなると回収期間はこの計算よりさらに短くなると考えられます。

このような理由から「どこまで高断熱化すればよいのですか?」という質問に対する答えは「長く住む人ほど高断熱化したほうがお得ですよ」ということになります。

実際には大半の方が30代半ばに新築されます。また人生100年時代といわれることも考えるとほとんどの方にとってG2レベルが最適であることがご理解いただけると思います。

トータルコストを抑えるためには、エアコンが唯一かつ最強の冷暖房器具

暖房器具の種類はいろいろとあります。一方、冷房器具はエアコンしかありません。今の日本ではどんなに涼しい住宅を作っても冷房は不可欠です。そこから考えるとエアコン冷房を設置すれば自動的にエアコン暖房もついてきます。さらに除湿機能もついてきます。1台3役なのでまずはこれを使うことが最もコスパが良くなります。

そのような言い方をすると、「機器は安いけれど冷暖房費は高いんじゃないの?」と思われそうですが、全く逆です。冷房に関しては1台のエアコンで家全体を上手に冷房すれば、消費電力の8倍前後もの熱を排出することができるので、超省エネです。

暖房に関してはかなり上手な使い方をすれば4倍程度、普通に上手な使い方で3倍程度、世間一般の使い方だと2倍程度の燃費効率となります。当社では3倍から4倍の使い方をしているので表のとおりの効果を発揮します。(*図中の「COP」は倍率を示します)

松尾設計室では一言にエアコンと言っても、その能力と効果を最大限発揮し光熱費を最小限に抑えつつ快適な住空間を実現するために、「小屋裏冷房と床下エアコン暖房」という方式をとっています。詳細ページで解説をしていますのでご覧ください。

設計する上で大事にしていること

耐震性、断熱・気密性、コストパフォーマンス、上述したこれらは当社でお引き受けする住宅すべてにおける最低条件としています。その上で、お施主様のご要望に応じて設計・デザインをしていく際にルールにしているのが下記の項目です。

「要望を全て叶えます!」とは言いません

要望はできるだけ詳細に聞き取ります。その上で出来る限り要望を満たすよう努力します。ただ、全て満たすことによってバランスが崩れるような場合、あえていくつかの要望を捨てることによって全体のバランスを重視することがあります。また、その要望によって致命的な欠点が生じる場合、ご説明の上、その要望はあきらめていただくよう努力します。これはプロとして、出来たあとで満足していただくためには非常に重要であると感じています。

外観よりも大切にしていることがあります

夏の日射は遮り、冬の日射は取り入れることを重視し、近隣建物の影響を読みぬいた設計を行います。それと要望から浮かび上がってくるフプランを考え抜いて美しい外観に仕上げていくという順序で設計します。よって、外観イメージから設計していくことはありません。敷地条件が特殊であればあるほど、今までにないタイプの外観ができあがりますが、一般的な敷地条件の場合は、シンプルな外観形状になることが多いです。

リビングの南側に庭をつくれるよう設計します

リビングの南側はできるだけ庭を確保できるように心がけています。こうすることで、景色がよくなることと冬の日当たりがよくなることを両立させています。

太陽の光を最大限享受します

昼間照明をつけなくてもいいようなプランニングを心がけています

遊び心をとりいれます

最低でも1箇所以上楽しさを感じられる空間ができるように心がけています。

経年劣化する建材は避けます

貼り物(木製プリントのようなフェイク建材)は極力使いません。そうすることで、新築時が最もきれいなのではなく、年とともに味わいを増していく住宅を理想としています。

できるだけ汎用品を使うように心がけています

特殊設備を中心に設備を組むと10年後に故障した時に復旧できなくなる可能性が高くなります。

完成イメージのすり合わせには労力を惜しみません

出来てから「こうしておけばよかった」がないように、1棟あたり70枚程度図面を書くことにしています。それにプラスして3年以上の有資格経験者が丁寧な説明を合わせることで、完成時にご満足いただけることを目指しています。

総合的なご提案をします

間接照明を含む一つ一つの照明器具までトータルコーディネートします。

最後になりますが、「家は性能だけでよい。コスパだけで良い」とお考えの方は一条工務店に行かれることをお勧めします。

当社でも暖かさ・涼しさ、それを実現するためのコスト、耐震等級は、一条工務店さんに決して負けることはありません。しかし例えばですが、高価な全面タイル張りを一条さんと同じ価格で出すことは到底できません。

細やかな設計、年を経るごとに味わいを増していく質感、庭とのつながりといった設計へのこだわりからくる良さ、味わいも欲しいとお考えの方は、ぜひ当社にお越しいただければと思います。

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