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高性能住宅ガイドライン

許容応力度計算と耐震等級3

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木造でも鉄骨造でも〇〇工法でも、耐震等級3が合格ライン

許容応力度計算をした住宅南海トラフでM8〜9クラスの地震が発生する確率は「50年以内に90%程度かそれ以上、30年以内に70~80%」これを無事に乗り切るには耐震等級3が必須であるということは、構造の専門家の間では常識となっています。

一般の方は鉄骨であれば強い。木造はちょっと・・・と思い込んでおられる方もいらっしゃいますが、鉄骨でも等級1(建築基準法と同等レベル)もあれば木造でも耐震等級3が存在します。当然ながらこの場合、構造種別に関わらず、耐震等級3の方が圧倒的に強いということになります。

どこの会社にいっても各社「〇〇工法だから強い」というカタログ、営業トークを展開してきます。それで一般の方は分からなくなるわけですが、とにかく耐震等級3以上を確保していれば構造はそれで合格。そのように考えておくと、不要に頭を悩ませることから開放されます。

耐震等級ごとのシミュレーション

実際に、シミュレーションではありますが、建築基準法の強度を1とし、耐震等級3を1.5とした場合に、0.5(激弱)から2(超高耐震)までの強度で作られた16棟の住宅を阪神大震災の地震波で揺らしてみた動画があるのでこれをご覧になっていただければ一目瞭然です。

この地震波に耐えて残ったのは最後列の4棟と後ろから2列目の右側2棟、すなわち耐震等級3(=1.5以上)の住宅だけであることが分かります。

“耐える”ではなく揺れを“制御する”「制震ダンパー」

ただ、「大地震が来た際に揺れそのものを少なくしたい。」「数百回を超える余震を繰り返しても初期強度からできるだけ落としたくない」といった更なる高い要望を求める方、微動探査の結果、地震時の揺れが特に激しくなることが予想される地域に関しては「制震ダンパー」を設置することも可能です。

なお、制震ダンパーはたくさんの製品があります。大半がゴムの摩擦熱を使ったものですが、温度による特性の違いが大きいこと、経年変化のリスクが拭いきれないものが多いです。当社ではそのような心配がない唯一の制震ダンパーであり、構造塾の佐藤氏も推奨しているミューダムという制震ダンパーを推奨しています。

ここでも間違ってはならないことがあります。「耐震等級が1もしくは2の状況で制震ダンパーをつけてもほとんど意味がない」ということです。これはまともな制震ダンパーメーカーであれば、メーカー自身が言っていることです。しかしながら、実際のところ熊本大震災の後、近隣のエリアにおいては低い耐震等級の住宅に制震ダンパーのみの設置することで「高耐震住宅である」と大々的に発表している業者さんが後を絶ちませんでした。これは断熱性や気密性を高めずに床下エアコンに走る業者と似ています。

「基本性能は設備に勝る!!」これが原点であることを忘れないで下さい。