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有機ELだと黒い部分は一切光っていないので本当に真っ黒

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2017年4月13日
昨日大阪講演のついでに最新型の有機ELテレビの視聴もしてきました。
リビングを設計する上でテレビをどこに置くのかということは欠かせない条件です。かなり前から薄型テレビかつ40インチ以上(今では50インチ以上)が常識となっています。これをすっきり納めようとするとブラウン管時代のようにコーナーに配置するとせっかくの薄さの意味がなくなってしまいます。
そこで部屋の壁の中央に設けることが多くなるのですが、そうすると南の窓が大きく、かつ間仕切りの少ないプランだとそもそも背面の壁を設ける事自体が難しかったりするわけです。
さらに言うと、壁掛けにしないかぎり、大画面になるほど転び防止のために足の奥行きが大きくなるのでいくらパネル部が薄くなっても薄さを生かしきれません。
ということで当社ではほぼ必ずテレビは壁掛けにするようにしています。これは12年前からやっていることです。
当時はプラズマ全盛で本当にテレビも金具も分厚かった・・・壁掛けにしても15cm以上飛び出していました。
それが今なら金物を含めても余裕で5cm以内に納まります。
たまに「角度を変えたい」といって特殊な金物を要望される方がいますが、出幅が非常に大きくなる。それにプラスして斜めにしたときに重みで垂れるので本当にかっこ悪くオススメしません。
もうひとつ大きく変わってきたのが画面との距離関係です。ハイビジョンになる前の時代の目安は
「画面高さの9倍離れた位置で見る」
というのが推奨でした。
よく親から「目が悪くなるから離れてみなさい!!」と
言われましたよね。
医学的なことは分かりませんが、この距離より前に行くとドットが荒かったのでつぶつぶ感が目立って仕方なかったというのが正確なところです。
ところがフルハイビジョンが出てきてこの倍率が3倍にまで小さくなりました。
さらに今電気屋で主役を担っている4Kになると1.5倍です。
1.5倍の距離で視聴すると55インチとか60インチでも映画館の
大スクリーンを見る場合とたいして変わらないくらい大きく見えます(自分の目に占有する画角が広い)
よって6畳間の短辺方向でも65インチを置いても無理がなくなってきました。こういうことを知っておかないと適切な設計ができません。
次に、有機ELですが何が違うのかというと端的に黒い部分(暗い部分)の表現力が液晶とは段違いです。液晶は黒い部分でも裏から発光せざるをえないので、厳密には濃いグレーみたいな感じになります。映画館のように真っ暗にすると、暗い部分が発光しているのがよくわかります。
それに対して、有機ELだと黒い部分は一切光っていないので本当に真っ黒です。一番わかり易い比較は「真っ暗な部屋でろうそくを灯しているシーン」を真っ暗な部屋で見る場合なんかに驚くほど違いが出ます。こんなことは珍しいかもしれませんが、映画好きの人が照度を落として夜のシーンを見るなんてことは普通にありますから、そういう時にものすごい差があるということです。
ところがついこないだまで有機ELのテレビは韓国のLGしか販売していませんでした。しかもIphoneのようなブランド化した販売戦略を取っているため通常の家電店には置いていません。
つい最近東芝が発売しましたが、結局パネルはLG製を転用しています。たまたま昨日見に行くと、横同志で同じ65インチの東芝製とLG製が並べてありました。
誰が見てもわかると思いますが、東芝製のほうが画質が良かったです。この差は映像エンジンと呼ばれる演算装置(パソコンのCPUみたいなもの)の差にあります。東芝製のほうが微妙な明度差があるところが潰れずにしっかりと段階表示されているのに対し、LGだと潰れてしまっていました。
本来は原理的に有機ELの方が面積当たりの消費電力は下回ると言われています。ところが現時点では技術的にまだ未熟なところもあり有機ELの方が若干上回っている状況です。まして価格となると1.7倍くらいしています。
おそらくですが、今までの流れからすると数年後には価格も消費電力も劇的に下がってくると思われます。まだ時期尚早ですが、10年ほど続いた液晶の天下も代わりつつあるということなんだと思っています。

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