ゆがみや制度を変えるだけで大幅な省エネができるのに・・・
今日の村上敦さんのブログを読んで改めてそう思いました。
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51707587.html
村上さんのブログは極めて詳しく分かりやすいのですが、軽く読めるという感じではありません。
このブログの内容を極めて単純化すると「日本の太陽光発電における余剰電力買取制度は
よくない。ドイツのような全量買取かつ晴れた日の昼間に使うひとほど儲かるような制度に
すべきだ」というものです。
今の日本の制度ですと、自分の家で作った電気から使った分を差し引いた余剰電力だけが
倍に近い単価で買い取られます。これでいくと余剰電力をいかに増やすかが勝負になるのですが
その結果、当然ながら昼間いかに電気を使わないかが電気代を節約する際の勝負になってきます。
それどころか、深夜電力の単価が異常に安く設定されているので深夜電力利用比率を高めたほうが
より大きな電気代の節約となります。
この制度のまま、太陽光発電が現在の10倍、20倍と膨らんでいくと、太陽光発電反対派の人が
よくいうところの不安定な状態が起こりやすくなります。そらそうです。発電量はどんどん増えるのに
使う人がいなくなるわけですから・・・。
ドイツの場合逆に、最も発電量が多い時ほど自家消費を増やすようにした人が儲かるような
料金体系になっているそうです。それであれば、発電量が多い時に皆が電気の使用をシフト
しようとする動きが起こります。
このおかしな制度矛盾をクリアするべく出てきたのが蓄電池に頼ったスマートハウスというのですから
もはやあきれるしかない感じです。
社会的に非常に影響が大きく、かつ単純なことがこんなにもねじれています。
こういう事例はほかにもいっぱいあります。いつも講演で話していますが、
一次エネルギーを減らす人よりもオール電化にするほうが光熱費が安くなることも
この国の電気、ガス等の料金体系がねじれている一例です。
また、ねじれではありませんが、今の日本のサッシのうち売れ筋の7割くらいが
いまだにU値(熱貫流率)が4.65くらいだそうです。できればメーカーさんが
自主的にこういうサッシの製造をやめてもらえればいいのですが、一社だけが
やめて、他社に安い製品が残ると、経済原理から価格しかみない大半の住宅業者は
安い方の残った製品に流れます。窓は建物の中で最も熱ロスが多く、しかも一度取り付け
られたら、30年くらいそのまま利用されることも多い建材です。それがこんな状態であることが
今のご時世で放っておかれることが考えられません。
これを止めるのに有効なのが、先日から何度も紹介している国による最低値の規制制度です。
日本でいきなり窓のU値を1.0にまで引き下げるのは難しいでしょうが、せめて
今の住宅メーカーで標準になりつつある3.49もしくは2.91くらいは義務化されても
いいと思います。
省エネ基準ともなると様々な利害が絡むので簡単にはいかないと思いますが、事実上
大手2社で回っている窓業界においてこの最低基準を設けるとしてそんなに大きな障壁が
あるとは思えません。であれば、なぜやらないのか?理解に苦しみます。
とはいえ、地熱発電に関してだけは国立公園内での掘削に関する緩和措置等も打ち出されています。
目新しいことには敏感だが、効果があっても地味なことには興味を示さないのがこの国の特性なのかも
しれません。