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性能良くて笑う家、性能悪くて悲しむ家

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今日は須磨区H邸の引渡しでした。
初めてお会いしてから2年かかりましたが、「本当に思い通りの家が建って良かった」
と最高の褒め言葉をいただきました。この御施主様10年前に自宅を研究に研究を
重ねて大工さんを直接指導し、C値0.35という当時の関西では最高レベルの気密性能
に加え、熱交換換気システム+全館空調システムを導入され、3層吹き抜けであるにも
関わらず上下温度差1℃以内で10年にわたし、冬場21度を維持しながら過ごされてきた
超がつく断熱マニアな御施主様です。一般の方が入手可能な断熱住宅に関する本や
雑誌はほとんど持っておられ、それらには入念に線引き及び付箋が貼られていました。
プロの建築士でもHさんの断熱知識を超えている方は1000人に一人いるかいないかという
レベルの方です。そんなHさんだからこそ、お褒めの言葉をいただけたのはなによりでした。
大変なこともいろいろありましたが、担当の今瀧、監督の北野さんともども本当によく
やってくれたと思います。この現場が成し遂げられたということは二人にとって大きな
財産となることでしょう。
昼からは一年ぶりに大久保のS邸にお伺いしました。
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.200851349974196.49532.178046555588009&type=3
この住宅、前から施主様の話を聞いていて理解できないところが何点かありました。
「真冬でも無暖房で室温が26℃を記録したことがある」とおっしゃるのです。
この家は大幅に断熱性を向上させる前の仕様なので断熱性は次世代より1割ほど
良い程度です。
いかに太陽を重視した設計とはいえ、今までの経験からするとあまりにも高い温度
なので理解ができていませんでした。しかし、今日訪問することですぐに理由が
分かりました。この家は1階が半分インナーガレージのようになっており、1階面積が
今まで当社が建てた住宅の中でも最も小さい反面、南には広大な海が広がるので
南面の窓は5.5m×2.4mと13㎡もの巨大な窓を確保しています。もちろん庇は
きちんととっています。これだけ1階の室容積が少なく、窓が大きいと空間に対して
日射取得量が異常に大きいわけです。悪い言葉でいうとオーバーヒートといっても
いいかもしれませんが、もちろん迷惑するような温度ではありません。
今日は夕方4時頃にお伺いしたんですが、リビングの北の壁でも23℃、
日が当たっている床は30℃もありました。でもって室温は23℃くらいです。
ちなみに外気温は8℃でした。
窓が大きく、ハニカム構造ブラインド等はつけてないので夜間の温度の落ち込みは
大きいようですが、それでも下がり始める温度が高いので深夜電力が安くなり始める
11時まで晴れていれば無暖房でいけるそうです。でもって11時から3時間だけ
床下暖房しておけばそれでずっと暖かい・・・。しかも太陽光発電は4kwを補助金を
もらえるだけもらって実質120万円で載せているので7年ほどで減価償却できる計算。8年目からは
年に16万もの儲けがでます。まさに笑いが止まらない状態です。もちろんそれを見ている
私の笑いも止まりませんが・・・。
次はその逆のパターン。昨日の見学会に、15年ぶりくらいにあう友人が来たんですが
つい最近フェイスブックで再開しました。昨年家を建てたそうですが、あまりにも寒く、なんとか
ならないかと糸口を探しにわざわざ岡山から見学会に来ました。岡山市内なので外気温は
明石とさほど変わらないと思いますが、朝のリビングの室温は7℃とのこと!
20年前に住宅メーカーで建てた私の実家でも10℃はあります。
しかも友人は業者さんに「暖かい家にして欲しい」と頼んでいたとのこと
こういう事例本当に至るところで聞かれます。車がリッター何キロというのを
同じ土俵で表記するような制度さえ確立されていれば、こんな業者にだまされる
ことはないのですが、今の状態ではこういうクライアントが後を絶たないのも仕方が
ありません。なんせ当の業者ですら自分の作っている住宅がどの程度の性能なのか
わかっていないわけですから・・・。
こういうときに、暖房負荷の値の表示が義務付けられていれば、購入者は一発で
見ぬくことができるわけです。
彼も、昨日の見学会であまりにもの性能の差に驚愕し、多少お金をかけてもぜひ改善したい
とのことだったので、できる限りの協力はするつもりです。
しかし、こういう人を減らしたい!それは心の底から思います。
私が建もの燃費ナビを一生懸命開発したのもまさにこういう思いからでした。
http://www.cpu-net.co.jp/product/tatemononenpinavi.html
このブログを読んでいる実務者の皆さんはもちろんですが、その回りにも共通の土俵で
性能を評価するよう広めていただくことが今回のような被害者を防ぐことにつながります。
ご協力よろしくおねがいします!

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