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風力発電に対する誤解を解く本「日本の知らない風力発電の実力」がオススメです!!

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風力発電に対する誤解を解く本「日本の知らない風力発電の実力」がオススメです!!

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もう数ヶ月前に読み終えた本ですが、紹介しようしようと思いながらバタバタしっぱなしで
机の上に置いたままになっていました。
日本では風力発電では
「風が吹かない」
「不安定」
「想定通り発電しない」
「低周波騒音問題」
等、負の側面ばかりが報道されます。
著者は関西大学の准教授で専門は風力発電の耐雷設計および系統連携問題で
日本ん風力エネルギー学会の理事もされているそうです。
では早速内容の要約を紹介します
・各国の風力発電累積設備容量は
1位中  国75.6GW
2位アメリカ60.0GW
3位ドイツ 31.3GW
13位日 本  2.6GW
と大きく大きく差を空けられています。
ドイツならいざしらず実利大国のアメリカや中国が儲かりもしないものにこれだけ
投資する理由があるでしょうか??
・風力発電の導入率ランキング
1位デンマーク 33.7%
2位ポルトガル22.0%
3位スペイン 16.5%
5位ドイツ   7.4%
15位アメリカ 3.3%
28位日本   0.4%
率で見ても日米欧の中では最低レベルになっています。
ちなみに世界平均は1.95%らしいので、平均すら大きく下回っています。
・陸上風力発電は石油火力発電の単価はすでに超えている。
条件によってはLNG火力、石炭火力を超えることも出てきている。
風力発電の単価はこれからも下がることが予想されるので、ますます、普及していくことが確実
・日本の風力発電の設備利用率は平均で21.3%、しかし、ピーク電源として利用されている
石油火力発電などは夏場のピークにしか使われないので設備利用率は数%でしかない。
この観点からすると設備利用率で判断すること自体がナンセンス
・発電設備を作ったエネルギーを回収する年数のことをエネルギー回収期間という
この期間はそれぞれ
水力0.6年
風力0.56~0.79年
地熱0.97年
太陽光0.96~1.9年
原子力0.4~1.3年
火力1.4~5.0年
と自然エネルギーは総じてかなり優秀
・自然エネルギー普及率が高いドイツなどは電気代が高いと言われる。
しかし、電気代は税金も含まれている税金の内訳も含めて比較すると
安い順から(世界の順位ではない。任意抽出の6カ国、家庭用)
税抜き  税    税込
ポルトガル 21円+5.1円=26.1円
アイルランド24円+3.0円=27.0円
日本    26円+1.7円=27.7円
スペイン  26円+3.5円=29.5円
ドイツ    19円+14.9円=33.9円
デンマーク 17円+21.3円=38.3円
となっています。
まず、ポルトガルやアイルランドのように自然エネルギーが日本よりはるかに普及している国でも
日本より電気代が安い国も存在します。またドイツやデンマークは確かに日本よりも電気代が高いですが
それは税金比率が高いことが日本のメディアでは絶対に報道されません。
それともうひとつ、自然エネルギーの普及が遅れている日本が税抜価格はこの6カ国の中で最も高いのです!
・産業用となると、日本が上記6カ国の中で税抜きでも税込みでも最も高い
・日本では陸上風力に向く土地が少ないと言われることが多いが、設置可能場所の1/100の面積も
設置されていない
・バードストライク問題(風車にあたって鳥が死ぬ)が叫ばれることがあるが、
風力発電が原因となっているのは0.003%でしかない。
最大の原因はビルが59%、次点が送電配線で14%、猫が10.7%、自動車が8.6%
となっており、あれだけ問題を起こした原発を「問題がない」と逃げ切りながら
0.003%の鳥の死を大騒ぎすることに恣意的な不自然さを感じないでしょうか?

・電源別の鳥類およびコウモリの被害率はkWhあたり
風力269羽 原子力416羽 火力5180羽とこれも鳥の生命保護というのであれば
風力よりも火力を減らしたことが良いことが明らかになっている
・風力発電の台数が増え、地域が分散するほど負荷変動が平準化される。
またこの本には書いてありませんが、太陽光発電との相殺効果が非常に高いのも
特徴です。一般論としてですが、太陽がよく照る日は風が少ない。逆もまたしかりということです。
昼夜、夏冬にしても同様のことがいえます。日本では風力7:太陽光3くらいがベストバランスでは
ないかという説がありますが、現状では圧倒的に太陽光だけが突出して普及してしまいました。
この点は買取価格制度の金額設定ミスとしかいいようがないかもしれません
・風況予測の最先端はスペインにある
スペインでは全国28箇所に分散して配置された地域制御センターを通じて、スペイン全土の10MW以上の
すべての風力発電所と通信回線で結ばれており、各風力発電所の出力がリアルタイムで把握できる
各風力発電所の風光、風速、温度などの情報に基づき、風力発電の出力予測を行う。それに応じて
他の電源の5時間先の調整力を計算する。
要するに、日本とは異なり、せっかく風力発電を導入したのだから、まずは風力発電による電気を再優先で
利用し、足りない分を火力等で賄うということです。
これは例えるなら「ちょっと予算をかけてハイブリッドカーを買ったから、家に2台ある車のうち、ハイブリッドカーから
優先的に乗ろう」ということです。日本はハイブリッドカーを買っておきながら「ハイブリッドカーは高価だから
できるだけ乗らないようにしよう」というありえない戦略を取っているわけです・・・情けない・・・
・導入率が20%以下では蓄電池は経済的にありえない。蓄電池が必要になってくるのは50%を超えてから・・・
これも日本のように太陽光と合算しても10%に遠く及ばない状況から「蓄電池が大騒ぎ」されてる状況が
いかに電池業界の都合によるものかがよーく分かります・・・
合理性がない、業者の都合による戦略が世界の主要戦略となりうることは長期的には絶対にありえないと思われます。
ほかにもいろいろ有益な情報が書かれています。風力に限らず、世界の状況、電気業界のことも詳しく書かれています。
この本は多くの方に是非読んでおいていただきたい内容だと思います。

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