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数年前に引き渡したお医者様からのメール(ヒートショックに対するご意見)

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数年前に引き渡したお医者様からのメール(ヒートショックに対するご意見)
数年前にお引き渡ししたお客様で内科医を開業されていらっしゃるお医者様から
次のようなメールをいただきました。高齢者を日々たくさん診察されている現役のお医者様です。
しかも、別に寒冷地ではなく、兵庫県の瀬戸内海側で活躍されているお医者様です。
ご自分自身、当社で建てられた暖かい住宅に住まれ、その快適性はよく知っておられます。
また、研究熱心な方で、下手な住宅屋よりも断熱に関する知識も持たれている方です。
そんな方から貴重なご意見を頂きました。ご本人の了解を得たので
以下に紹介したいと思います。
松尾様
色々な情報や資料、ありがとうございます。
大規模研究に関して詳しくないのですが、循環器医として体感しているのは冬の血圧の上昇です。
当院で大半を占める高血圧患者すべてに、家庭血圧を測定してもらって毎回見せてもらうのですが、
必ず冬の方が10mmHgほど上昇しています。
寒いから当たり前と日本では考えられていますが、全館暖房の欧米ならどうなんだろうと思います。
当然ですが、高血圧で薬を飲んでいる大半の患者は70歳前後で、そのような方のお住まいは、
冬は朝いちばん0度近い部屋で暮らしています。
早朝起床直後の血圧を測るよう指導しているので、白い息を吐きながらみなさん測定してくれて
いるようですが、そのような中で暮らしていたら血圧上がって当然です。
(その状況なので、朝いちばんの高血圧&交感神経過活動
→循環器系疾患(脳出血、心筋梗塞etc)で救急搬送アップ)
本当に先進国なのに、住宅環境だけは後進国ですよね。。。
住宅業界も、頂いたパワポ通り、はっきり言って科学の世界のはず。
なのに、日本の住宅業界は、‘自然を感じる、、、‘、‘嘘のない、、、‘、‘くもりのある、、、‘
など抽象的で非科学的な広告ばかりですよね。。。
責任は、国、業界ともにあると思いますが、一部は文句を言わなかった
国民にもあるのかもしれません。
また、寒さが悪いことを知っているのに、何も言わない医師にもあると思います。
実際、入院中に調子良く退院する循環器疾患患者の再入院の原因の一つに寒さがあると思います。
その要因の1つが温度!
入院中は全館暖房の病院内(20度とか)に居ますが、帰宅すると5度とかの部屋に
服を着込んでコタツで我慢する、心不全患者。
ましてや、廊下は0度近く。トイレも0度でズボンを脱ぎ、寒さに耐える。風呂も同じ。
このような環境では、ご存じのように血圧は乱高下し、血圧が上昇すると、
afterload mismatchといって、心臓から血を送り出そうと思っても体血圧が上昇し、
有効な心拍出量が生み出せず急性心不全となり、呼吸苦や死亡につながります。
こんなことを少しでも避けたいので、私が心不全治療で寝たきりなどで訪問診療した際に、
環境整備として老人の子供たちを呼び行っていること(住んでいる本人に言っても設置して
くれないのは分かっているので子供に言います)がエアコンなどの設置です。
付け焼刃的ですが。。。
本来は断熱工事などが一番良いでしょうが、お金の問題で実現する可能性はゼロですので。
ので、まずはコタツしかない部屋にエアコンを設置させ、またできれば廊下にも設置。
トイレ、脱衣所にはヒーターでもよいので設置するようアドバイスします。
そして、エアコンはできるだけ電源をいれ、スカスカの家
(ときには外の隙間か風がはいる家もありますよ。。。)なので28度とかで暖房をガンガン
かけるよう指導します。それでも室内は15度いくかいかないかでしょう。
本人は電気がもったいないと言い張るのですが、温度が低いと血圧が上がり
心不全で再入院になると説明し、1日中オンにするよう指導します。
(⇒が、まあ、よくて日中だけですね)
家に行けない高血圧患者で、冬の血圧が高い患者には寝室の暖房をせめて、
起きる1時間前にタイマーでオンしてもらい、温かい状態で布団から出るよう指導しています。
ただ、電気代がもったいないとかで、実際にやってくれている人はほとんどいませんが。。。
本当に松尾さんには、日本の住宅環境、というか国民の意識を大きく変革して頂き、
国民の命を救っていただきたいと切望しています。
人類の快適さの指標である、衣食住、さらに21世紀では衣医食住でしょうか、
のうち衣医食では一定のレベルに達した日本ですが、住だけは遅れた感は否めません。
快適になりつつ、健康寿命も長くでき、イニシャルコストは上がるかもしれませんが、
トータルコストは下がり(これが住宅業界のマイナスになり非協力的なのでしょうか??)、
一石三鳥なはずの住宅環境。
ますますの松尾さんによる改革、革命を心より期待しております!
以上ですが、いかがでしたでしょうか?
もっともっと、住宅業界は頑張らなければならないのはもちろんのこと
医学の世界とも手を取っていかなければならないようですね。
この先生のように室温に気を使っているお医者様が世間にどれだけいるのでしょうか?
実はそこも気にかかるところです。日本では厚生労働省がこういった件に関して
かなり足を引っ張っているという話をよく耳にします。
国民のことを考えないのであれば、官僚になんてならなければいいのに・・・
ついついそんな風に思ってしまいます。
でもこのようなお医者様がいるだけでも救いです。こういったことが医学会でも
どんどん広がっていくことを願っています。

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