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kwh=\ キロワットアワー・イズ・マネーは必読書だと思います。

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久々に本の紹介です。
私もお付き合いのあるドイツ在住の環境ジャーナリスト村上敦さんの新著です。
いつもの村上節
http://matsuosekkei.blog85.fc2.com/blog-entry-1942.html
が上手にまとめられた上に、講演にはない本独自の内容もいろいろと書かれており
秀逸な内容でした。日本のビジネス本を100冊読んでも出てこないような事が多いように思います。
村上さんの基本思想に
「お金を使うときはできるだけ地域に落ちるようにする」というものがあります。
昔日本では「タバコは自分の町で買いましょう」という看板をよく見かけましたが
あれと基本的には同じことだと思います。
ものすごく単純なことですが、これを強烈に推し進めていかないと日本の地方というものは
消滅してしまうであろうことが予言されています。私もそのとおりだと思います。
ことを単純化して考えると至極当たり前の話です。今製造業は1円でも安い地域に
工場を構えようとします。その、中国は当たり前として、さらにはベトナム
ミャンマーにまで移り変わろうとしています。経済原理的には当たり前の話です。
その結果、大多数の人が同じ物ならより安く買えるような世界にはなってきました。
しかし、今まで国内で作っていたものは単純なものから順にどんどん海外に奪われて
いきました。同様のことがサービス業でも起こっています。昔なら地域の書店に落ちて
いたお金が今は大半がアマゾンに落ちています。その結果、地域にお金が落ちないどころか
東京、もしくは海外にお金は流れ、地域の職も減る結果につながっています。
日本で職が確保できている人にとってはものが安く買えるメリットだけが引き立つので
いいことのように思いますが、今後ますます日本でなければならない仕事は減っていく
と思われます。そう考えると地域にお金を落とすことの重要性はよく分かります。
現在先進国である、欧米と日本のうち、日本とヨーロッパはすでに人口減少社会に入っています。
経済は自ずと縮小の方向ではありますが、縮小していく中できちんと対策が考えられ実行されている
ドイツの現状には頭が下がるばかりです。
しかし、なによりこの本で驚いたことはドイツの選挙制度についてでした。
例えば、48人当選する選挙がある場合ドイツでは一人48票の権利を持っている
そうです。
その48票は全票好きな政党の候補者に入れてもいいし、
人重視で政党を横断するように一人ずつ入れていっても構わない。
また、一人3倍まで重みづけすることも認められており
好きな候補者16人に票ずつ投票してもいいらしいのです。
これであれば、細やかな政策の違いが反映されやすく、また
一部の既得権益団体による影響も少なくなると思われます。
また、選挙にいく意欲も湧いてくるでしょう。
また、市会議員などは基本的にボランティアかつ名誉職であるのも
素晴らしいと思います。日本のように「飯を食うために立候補する候補者」
は存在しないようです。
また、市議会を構成するために必要な弁護士、税理士、建築家、医師
等の専門家枠が最初から割り振られているとのこと。
確かに市政を運営するにはそういった分野のプロは絶対に必要です。
専門分野を持たない議員ばかりいてもレベルの高い市政運営は不可能だと思います。
この点も本当に羨ましい限りです。
日本のように一人一票すら実現できていないことからすると
考えられないほど進んだ制度です。企業はトヨタが生み出した世界共通語で
ある「カイゼン」を日々少しずつでも実行して行っているのに対し、政治は
数十年何も変わっていません。
今NHKで吉田茂のドラマを見ていますが、マッカーサーに命令されるがままに
作られた憲法から未だに変われないのは非常に情けないように思えてなりません。

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