宇宙に外側はあるか
面白かった本を教えて欲しいという声がちらほらあったのでそのご紹介。
相変わらずですが、まずは宇宙本です。
最近ではこの分野では珍しく村山斉さんの
「宇宙はなにでできているのか」
がベストセラーになりました。
私は星座や高校の理科で習うレベルの頭で簡単に想像が
つくことにはほとんど興味がないんですが、現代の物理学
天文学をもってしても全く理解されていないことに対しての
ほうが、はるかに大きな興味があります。
村山さんのおかげで一般用語になりつつあるダークマターと
ダークエネルギー、まだ全く正体がわかっていないこの2つが
宇宙全体の構成要素の90%以上を占めます。
最近のIphoneをはじめとするネットの進化を見ていると科学は
いきつくところまで行った感を感じている方は多いと思いますが
実は世の中の9割以上がまだ分かっていません!!
しかも、どちらも確実に正しさが証明されている
極大の世界を表す相対性理論と極小の世界を表す量子論ですが
これらの両論は矛盾します。この矛盾があると
極大の宇宙が一つの点でしかなかった極大かつ極小であるビッグバンは
説明できません。
この矛盾を理論的に矛盾なく説明できる理論の筆頭が超ひも理論と呼ばれる
理論ですが、この理論を成り立たせるには11の次元が必要です。
今の我々には11どころか時間の次の5時限目すら全く想像さえできていない
状態なのに・・・。
この理論から推測すると、宇宙はマルチバース、すなわち宇宙自体がたくさんある。
もしくは、平行宇宙(我々の住む宇宙とはちょっと違う同時進行の宇宙)が存在するということが
オカルトではない、世界最先端の物理学者の間で真剣に討論されています。
こういうことに私はものすごく興味があるわけで、それに関する本で一般向けに
わかりやすく解説された本はほとんど読みました。
その中でも薄い割に非常に分かりやすかったのが、今日紹介する
「宇宙に外側はあるか」です。
特に面白かったのが量子論に関するところです。
かなり省略しますが
「この宇宙は本質的に多世界であり、そのうちのひとつの世界だけを人間の意識が
切り取って認識しているということになります。その意味で、宇宙が多数あるというよりは、何か
本来の複雑怪奇な宇宙の姿があるとして、その限られた部分だけしか私達に見えていないのだ
というほうがよいかもしれません」
であったりとか、
「この宇宙がなぜか生命活動をするのにあまりに都合よくできている。」
(この本ではこういう確率が10兆の10兆倍の1万倍分の1といったような表現でよくでてくる)
このようなありえない確率を神秘的と考えるだけではあまりにも無理があります。
しかし、
「この宇宙が唯一ではなく無数にある宇宙の中でたまたま知的生命体を生む宇宙がこの
宇宙だったとするとすっきり理解できる」
ともあります。
これらの問題は私が死ぬまでの間でも全ては解決されないと思います。
しかし、今現在、スイスで2008年から稼働している加速器の実感が日米欧の
莫大な資金提供の元で研究が重ねられています。
つい先日も神の粒子とも呼ばれるヒッグス粒子と呼ばれる粒子が98%の確率で
検出されたところです。(ただし、理論物理学の世界では99.9999%正確でないと
認められないという厳しさなのでまだ認められていません)
また、数年以内には5次元目だけに関してはなんらかの糸口が発見される可能性が
高いと言われています。アインシュタインが相対性理論を打ち出した時に地球人
全般が全く想像もしなかった世界を目の当たりにしたのと同様の興奮が生きている
間に後何回か経験できると期待しています。