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孫正義のエネルギー革命

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一週間ほど前に日経新聞にて広告が出ていたので目にして
購入された方も多いと思います。本を紹介する際はその時の
ベストセラーや話題の本はあまり紹介せず、紹介しなければ
埋もれてしまっていそうな名著を紹介するようにしてきた傾向はありました。
今回の本は日経の広告にも出て、出来立てほやほや、しかも
時事問題であることからわざわざ紹介しなくても十分に目立つ
本です。
しかし、それでも改めて紹介したいと思ったので紹介しています。
この本の監修は「自然エネルギー財団」です。
この財団は理事長は元スウェーデンエネルギー庁長官
トーマス・コーベリエル氏ですが、彼は日本のために職を
辞してまでの就任でした。
そのコーベリエル氏を紹介したのが同じく同財団理事
(かつパッシブハウスジャパンの理事でもある)
飯田てつなりさんです。
「おわりに」に書いてありますが、自然エネルギー財団ができたのは
飯田さんの信念が孫さんをうごかしたからだとのこと・・・。
孫さんは昔から日本で一番尊敬する経営者ですが、その孫さんを
動かすとはさすが飯田さんです。
飯田さんを知っている人、飯田さんの著書を読んでいる人であれば
それほど目新しいことはないかもしれません。それでも、やはり孫さんです。
飯田さんがいつも言っていることよりスケールが何倍も大きく、しかもそれを
実現するにあたってのキーマンの名前、必要な金額、投資回収年数まで含めて
具体的なことが出てきます。
日本のエネルギー政策は混迷を極めています。ただ、ことを
単純化して考えると
・原発を増やすことは世論的にほぼ不可能である。それ以上に
40年廃炉が適用されていくと、必然的に減らざるをえない。
・CO2削減の世界的流れから逃れることはできない。
このふたつを同時に解決する道は自然エネルギーの増加しか
ありえないことは誰もが異論の余地がないと思います。
しかしながら、その普及のスピードや、その他詳細の子細において
様々な考え方があるのは事実です。
われわれ一般市民、それにプラスして従来の政治家、及び官僚の
方であれば、孫さんのような大きな視点でものごとを考えることはできないと
思います。しかし、著書の中で孫さんは数十年先まで見据え、理想像を
描いてからどのようにすべきかを述べています。
決して現状の妥協策でも、分裂する各業界の折り合いをつけるところから
きているものでもありません。
こういうことを、孫さん以外の人が言っていたら「なにを絵空事を・・・」
ということになってしまうのですが、孫さんがいうと現実味を帯びてきます。
震災直後に100億の寄付を行い、自然エネルギー財団の設立にも10億もの
私財を投じる。
15年ほど前には64kでしかなかったISDNによるインターネットが当たり前だった
このくにに、YAHOOBBというADSLを格安で導入し、日本のインターネット環境の
礎を築いた張本人でもあります。
詳しくは本を読んでいただきたいのですが
・東北で放射能汚染された土地を太陽光発電の設置場所、もしくは
食用ではないバイオマス燃料用の植物の育成地とする
・韓国、モンゴル、ロシアなどとスーパーグリッドでつないでより安い電力を
購入できるようにする。また自然エネルギーの供給量の不安定さも
気候や時間差が入ることでより平準化できる
・発送電分離による電気料金の削減
選択できないことは良いことではないとの考え方。「不安定」な電源も
選ぶ自由があってしかるべき
・電話業界はNTTの独占が終わってから劇的に価格が下がり、利便性も向上した。
・有名な話ですがOECD加盟国で発送電分離をしていないのは日本とメキシコの
2カ国しかない。
・諸問題をクリアするための現行法の問題とその解決法
等々が書かれています。
政府、官僚をはじめ「これなら未来に希望が持てる」と思わせてくれる
政策が見当たらない中で、この著書の内容であれば、少なくとも期待を
持つことはできます。(もちろん実現可能性はわかりませんが)
飯田さんは大阪府の橋下市長のエネルギー関連のブレーンでもあります。
そしてこのたび山口県知事に立候補されます。
当落の結果は神のみぞしるところですが、今までは決して表だって発言
することができなかった正論を言える土壌まではできあがりつつあるように
思います。
非常に薄くて読みやすい本です。建築や省エネに関係のない方も
ぜひ一読することをオススメします!

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