1. HOME
  2. ブログ
  3. 日本の省エネ基準が設備中心となっている理由

日本の省エネ基準が設備中心となっている理由

Facebook にシェア
Pocket

日本の省エネ基準が設備中心となっている理由
つい先日、国の中枢で省エネ基準を作る側にいる人から直接聞いた話しをそのまま聞くことが
できました。
私は講演で「穴の開いたバケツに水を注いでいる」例えを必ず説明します。
ここでいう穴は断熱性や気密性、水はエネルギー源の種類や省エネ設備であったりします。
普通に考えれば水位を一定に保とうとする場合、まずは穴をふさぐはずです。しかしながら
日本ではそこは目をつむって「設備良ければ全てよし」というような基準になっています。
子どもが考えてもおかしい基準なのに、思考停止した実務者は「国が作った基準だから」
と本質を考えることもなく盲目的に従っていきます。
こうなっている大きな理由を聞くことができました。
基準を作るには国交省を中心とした委員会や審議会みたいなものがあります。
そこには当然関連する学者さんたちも呼ばれるわけですが、建築側の人だけでなく
設備側の人も呼ばれるようです。それぞれの学者さんにはバックにロビー団体が
つくようですが、設備業界のロビー団体の力の強さは半端ないとのこと。
それに引き換え、断熱に関する業界はロビー団体さえまともにない有様・・・。
強いて言うならグラスウール業界くらいだとのこと・・・。
これでは今の基準が設備一辺倒になってしまうのも当たり前ですね。
しかしです。これは設備業者の利益のためにできた基準であって、真に省エネを
考えて、また真に居住者の健康や快適性を考えてできた基準ではありません。
住宅購入者がそこに気づかないのは一般人であれば罪はありません。
しかし、建築の実務者がそれに気づかないのは勉強不足、かつ罪であると思います。
断熱業界にロビー団体がないのであれば、建築実務者の一人一人が自覚を持ち
しっかりした建物をつくればいいことです。人数が集まれば立派なロビー団体となりえます。
今月は10回目となる省エネ建築診断士講習を東京で開催します。本質を見極めて
設計できる実務者を一人でも多く増やして行くことで今の基準に抵抗していければと
思っています。

関連記事

著書紹介

過去の記事