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内外温度差と高断熱化する順序、黒い外壁が暑い理由

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国の基準では天井、屋根の断熱は壁の約2倍必要とされています。にもかかわらず大半の住宅業者の間では1倍相当を標準としている会社が大半です。その理由は単純に「施工が面倒だから」「ちょっとだけ高くなるから」というものにほかなりません。

なぜこのようになっているのか?冬の場合、室温20℃、外気温0℃の場合、外壁部分の内外温度差は20℃になります。しかしながら、天井、屋根に関しては特に夜ですが、放射冷却という現象が起こります。このとき屋根表面は外気温に比べて5℃から10℃下がることが大半です。そうすると内外温度差は25℃から30℃となります。仮に30℃となると同じ断熱性能だと外壁に比べて1.5倍の熱が抜けることになります。

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内外温度差と高断熱化する順序、黒い外壁が暑い理由

同様に夏を考えてみます。夏の場合外気温が35℃、室温が冷房していて27℃とします。この場合内外温度差は8℃です。しかし、直射日光があたっている外壁の場合、外気温よりも表面温度は上がります。この表面温度のことを相当外気温度といいます。しかもその上がり方は色によって大きく異なります。かなり昔に西日があたっている西外壁の表面をツートンカラーにした住宅で表面温度を比較しました。白系の色の部分は40℃、黒系の外壁のところは53℃と13℃も差がありました。このとき40℃なら内外温度差13℃、53℃なら26℃と入ってくる熱量は倍と半分の違いが生じます。

内外温度差と高断熱化する順序、黒い外壁が暑い理由
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屋根に関して言えば表面が70℃になることもあります。この場合内外温度差は43℃と単純に外壁の内外温度差13℃に比べると実に3倍もの熱が入ってくることになってしまいます。

冬1.5倍、夏は3倍も差がある。でも冬の期間のほうが圧倒的に長いし、昼の時間はずっとは続かないということなども加味して間を取りながらも冬に近い2倍相当の断熱性能が天井、屋根に設定されたのだと想像しています。

そんな単純な物理を無視して天井、屋根の断熱性能をケチっている業者さんが大半、しかも窓の日射遮蔽設計がちゃんとできてない。だから、大半の住宅の2階が暑くてたまらないのは当たり前といえば当たり前なんです。

それと同時に黒い外壁の強烈な暑さの意味も感じてもらえたのではないかと思います。

この観点で考えると床下エアコンをしていない普通の暖房方式かつリビング階段の住宅、もしくは吹き抜けがある住宅の場合、2階のほうが室温が高くなりがちです。この場合、2階のほうが内外温度差が大きくなります。予算が限られていてそれでも最大の効果を出したい場合、2階の大窓だけ特に高断熱化するという方法が理にかなっていたりします。

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