1. HOME
  2. ブログ
  3. 建築技術2016年1月号の村上敦さんの記事 まとめ

建築技術2016年1月号の村上敦さんの記事 まとめ

Facebook にシェア
Pocket

建築技術2016年1月号の村上敦さんの記事 まとめ
先日紹介した、建築知識1月号の村上敦さんの記事が短いながらも大変よくまとまっており分かりやすく、面白かったので、備忘録としてまとめました。ぜひご一読の上、原文も読まれることをオススメします。(先日紹介時はアマゾン未発売でしたが、今はでアマゾンで購入できます!!)
http://www.amazon.co.jp/%E5%BB%BA%E7%AF%89%E6%8A%80%E8%A1%932016%E5%B9%B41%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E6%96%AD%E7%86%B1%E3%81%A8%E7%9C%81%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%82%92%E5%88%86%E3%81%91%E3%81%A6%E6%95%B4%E7%90%86%E6%95%B4%E9%A0%93-%E5%8D%97-%E9%9B%84%E4%B8%89/dp/B016YNYQ4M/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1451264991&sr=8-1&keywords=%E5%BB%BA%E7%AF%89%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%80%802016%E5%B9%B41%E6%9C%88%E5%8F%B7
以下まとめ・・・
2006から2013年の8年間で1軒あたり約43万円の公的助成により平均636万円の省エネ改修工事が350万世帯分実施された。これは1年当たりに換算すると約44万世帯に相当する。
公的助成の比率は工事費のわずか7%でしかなく、助成費用の15倍の経済効果を産んだことになっている。しかも、ドイツでは建設工事費の19%が付加価値税としてかかるので国には約120万円が税金として戻ってくる。これは投入した公的助成金額(43万円)のほぼ3倍に相当する。
これは錬金術のようなもので、財源がなくてもやったほうが得になる政策となっている
(国内雇用拡大、税収増、景気好転、CO2削減、エネルギー安全保障の全てを改善)
2005~2008年の平均で断熱改修の比率と順としては改修比率が高い順に以下のようになっている
暖房・給湯発熱機器の交換 2.8%/年
窓の交換         1.34%/年
屋根裏・屋上断熱の改修  1.32%/年
外壁の断熱改修      0.82%/年
床下・地下室天井断熱の改修0.42%/年
次に注目したいのが、どういう建物から優先的に断熱改修するのかという優先順位の付け方である。ドイツ政府は費用対効果の薄い建物、難易度の高い建物から省エネ改修を割高で実施するほど馬鹿ではない。現在は高度成長期の60~70年代に建築されたRC造の公共住宅、公共建築の省エネ改修工事が盛んである。これらの建物は一般には真四角な形状が多く、内容積に対して表面積の割合が小さいので断熱施工に対して戸建てなどよりも有利である。
工法が簡便で、費用対効果に優れ、公共の賃貸であることから管理組合の問題も発生しないところから省エネ改修を始めたわけである。おそらく2025年程度までは、この建築物を主力とする省エネ改修が続き、その後に区分所有されたマンションなどの石造、RC造がくることだろう。そして2035年程度になると、省エネ改修用の工法も進化し、建材も安価となったところで費用対効果に優れない、いわゆる木造戸建住宅などが主力で改修されるようになるはずだ。そんな難易度の高いものはエネルギー価格が将来もっと向上してから対策すれば良い。
・・・以上です。
ドイツ人というのは本当に原理原則に忠実に、全体最適、優先順位、ゴールからの逆算・・・こういったことに関しては世界で一番得意な国ではないかと思います。日本は「似ている」と言われることも多いと思いますが、これらの点はほぼ真逆であると言わざるを得ないと思うところです。
良きところは素直に学ぶ・・・個人にとっても企業にとっても国にとっても変わることがない真実だと思っています。

関連記事

著書紹介

過去の記事