幸福度世界一の国デンマークの感想(8)
今回はデンマークのエネルギー政策と教育について書いてみたいと思います。2014年の年間総発電量に占める風力発電の割合が39.1%と2014年時点で国単位では世界記録を樹立しました。
デンマークは人口560万人なので、北海道の547万人とほぼ同じ規模です。寒さは
北海道の方が寒いですが・・・この北海道での風力発電の割合はわずか3%程度でしかありません。北海道は日本では有数の風力発電地域と言われています。それでも10倍以上の差がついているわけです。
日本は重工業地域で、デンマークは人口が少なくて・・・と言われますが、北海道と比較すると、一人あたりのGDPもはるかに上回っており、北海道と同じく全館暖房が普及しているデンマークとの差はあらゆる言い訳を超えた差であるように思えます。
また、日本と大きく異なるのはその所有者です。日本ではメガソーラーもそうですが、大手企業等が所有していることが多いです。ところがデンマーク(またその周辺国)では約85%が個人の出資によって設置されたものだそうです。自然エネルギーはとかく発電単価だけで「話にならない」と一蹴されがちですが、ここに大きなポイントがあります。
その辺りはお馴染み村上敦さんの著書が詳しいのでそちらをご参照下さい。
要するにポイントは海外に出て行くお金を地域内で回すということです。滋賀県を例に上げると、滋賀県の総生産の約5%に相当する3000億円程度が毎年エネルギーの輸入費として海外に渡ってしまいます。これは滋賀県内の建設業の総生産2600億円をも上回る金額です。多少高くても、CO2を排出せず、貿易黒字にも貢献し、かつエネルギー安全保障も完璧、かつ設置やメンテナンスにおいて雇用が生まれ経済も発達するという仕組みです。こういう大枠があるからこそ、ヨーロッパ諸国は必死で風力発電を個人出資でどんどん増やしていっているわけです。日本のメディアにも少しづつではありますが、この考え方を掲載してくれるところが出てきましたが、まだまだ極めて少数派です。この考え方をおそらく最初に日本に持ってきて、今も日本中に広めようと活動しているのがいつもお世話になっている環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんです。
デンマークでは2025年にはこの比率を50%に増やすとされており、実際世論調査でもデンマーク人の80%が「風力発電をもっと増やすべきだ」と考えているそうです。
このようになる背景にはやはり教育の影響が大きいようです。小学校の環境教育の課題で「高速道路の建設問題」を議論しあったりするそうです。動植物の生息地を奪うというマイナス側面と物流のスピードアップによる産業の活性化といったプラス面を議論させるそうです。これはほんとに一つの例でしかありませんが、小学校低学年からこのような教育がずっと行われているようです。日本のように「国語」「算数」「理科」「社会」のように縦に分割され、かつ記憶だけが重視される教育ではいくら偏差値が高くなっても国や地域が良くなる可能性は今後も低いと言わざるを得ないと思います。