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サッシ業界に存在する完全犯罪的悪循環の構図

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今日は午前中某サッシメーカーの重役の方々が大阪と東京から計3名わざわざいらっしゃいました。
たまたま資料請求をしただけなんですが、新建ハウジングの窓特集号が相当に衝撃的だったらしく
社長まで目を通されたとのことでした。で資料請求ついでに面会希望が入り、今日のご来社と
相成ったわけです。
さすがにサッシメーカーの重役の方たちだけあってサッシに対する知識と思いはかなりのものが
ありました。私も知らないことがたくさんあり、いろいろ勉強になりました。
お互い話しをしていく中で、日本のサッシが世界的にここまで遅れてしまった理由が
かなり明らかになりました。それが表題の「完全犯罪的悪循環」という言葉がもっとも
しっくりくる感じだったのでそう名づけました。
まず、前から何度もお伝えしているように、国に窓の熱貫流率の最低基準がないこと。
さらに、最低基準がない上に血税が元である補助金の対象となるサッシのレベルがおとなり韓国の
半分程度の性能というわけのわからなさ。
それを見た実務者は「国の基準があんなもんだったら、それ以上狙う必要ないじゃん!」
という思考停止。本来、大多数の日本人は政治家や官僚に対して良いイメージを持っていない
はず!ところが、いざ彼らが作った基準が書面になって交付されると、自分で良し悪しを検討
することもなく「お上が作った基準だから・・・」と本当に良し悪しを検討することもなく
鵜呑みにする。これでは都合がいいと言われても仕方がありません。
さらにはいいサッシを業者側が提供しようとしても、客観的な燃費基準が存在しないため
熱貫流率4.65でも2.33でも「ペアガラス」というひとことで同じくくりで終わって
しまうこともしばしば、客観的な燃費表示があれば、他社と価格競争になっても
「A社さんが安いのは低性能なサッシを使ってるからなんですよ。燃費がこんなにも
違うから当たり前ですね」というトークが可能となります。しかし燃費基準がない現状では
建もの燃費ナビ等を使いこなせる工務店さん以外でこういうトークはほぼ不可能。
また、生半可に我慢出来るような通称「温暖地」であることと、昔からの生活習慣として
全館暖房が普及していない。その結果、窓を高性能化しても光熱費のメリットが寒冷地ほどは
露骨に分かるという感じになりにくい。ということは利用するエネルギーの差も出にくくなるので
国としても基準を強化する動機になりにくい・・・。実際これは非常におかしいところで
脳卒中や心筋梗塞等の死亡者が最も少ないのは家が暖かい北海道というのはちゃんと勉強
している人の間では常識です。
逆に「温暖だから断熱なんか適当でいいんだよ」という声が現場でよく聞かれるような特に
暖かい地域。例えば高知、鹿児島、静岡といったところは死亡率が上位に並んでいます。
(沖縄は本当に断熱性が低くても冬暖かいので北海道に並んで低い位置にいます)
こうやって見るとどれか一つでも実現していれば、ほとんど技術革新のない状態が20年以上
続くなどということはなかったはずです。見事なまでの完全な悪循環が周り続けるシステムが
できあがっています。ここまで行くと見事としかいえないくらいです。偶然できたにしては出来すぎの
システムです。何らかの力が働いていると考える方が自然な気もします。
サッシの批判をすると「窓ばかりいじめる」という方がいらっしゃいます。
しかし、工業製品の世界で20年以上技術革新がなされていない業界がこの日本において
他にあるでしょうか?ITなら1年でも古くなりますが、もっと進展の遅い機械工学の
世界であっても10年といえばかなりの技術進歩があるはずです。20年以上技術革新を
放棄しているのは5カ年計画を実行していたソ連くらいではないでしょうか?
しかも、この最も遅れている項目が、日本の省資源、省CO2においてもっとも大きな
削減余地を持っており、同時にもっとも費用対効果が高い項目でもあります。
風力に頼るよりも、太陽光に頼るよりもまして原発に頼るなどもってのほかですが、
それらよりずっと以前にやるべきことの1丁目1番地なわけです。
日本の省エネはエネルギー源の方ばかりに目が向いていますが、やはり利用量を
減らす方が先です。出血をとめもせずに止血剤を飲み続けるような省エネ政策は
順序が間違っています。マスコミはドイツを自然エネルギーの側面からしか見ていないように
見えますが、それよりずっと先行してこの「出血をまず止める」ということを
やってきました。
窓の高性能化が進めば、多くの日本人が、住宅であれ、ビルであれ、冷暖房に
頼る割り合いをかなり減らした上で冷暖房による気流感が減って快適性はあがります。
冷房病も減るし、あらゆる疾病も少なくなって健康になり、医療費も下がります。
その上に省エネになって、エネルギーの安全保障もCO2削減も同時に実現できる。
これほど確実かつ効果があがる項目が野放しにされている・・・。いくらどう考えても
納得がいかないので少しでも効果が目に見えてくるまで「何度でも何度でも」
発言し、講演し、専門誌等でも訴えて続けていこうと思う次第です。

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