ドイツのパッシブ基準と
スイスのミネルギー基準にみる世界基準
2013年中にドイツのパッシブハウス基準(民間の基準)相当の住宅と、スイスのミネルギーPエコ基準(民間の基準)の住宅が竣工した。この2つが竣工したことで多方面から「講演で紹介してほしい」という依頼があったが、これらを理解してもらうには、まずそれらの制度とその仕組を説明しなければならないと思う。
まず、パッシブハウス基準とは、現在世界最高峰と言われるドイツの民間基準である。2015年以降はドイツ国内で新築ではビル、住宅を問わず全建築物においてこのパッシブハウス基準が義務化される予定だが、現時点でも新築の10%を占めるまでとなっている。
それに対し、スイスのミネルギー基準も民間の基準である。ドイツのパッシブハウス基準が外皮性能の超高性能化が主眼であるのに対し、ミネルギー基準は外皮性能はそれより多少落ちるが、給湯、暖房にかかるエネルギー源をできるだけ太陽熱やバイオマスを利用することで、これらにかかる一次エネルギー全般に関して極めて厳しい基準となっている。現状で新築の25%、改修の10%程度がミネルギー基準を満たしていると言われている。また、外皮性能をパッシブハウス基準並みに高めたのがミネルギーP基準、さらに薬剤等をあまり使わないという意味でのミネルギーPエコという基準まである。
パッシブハウス基準を聞きかじった人は「120kwh/m2年以下なんですよね?」とか「15kwh/m2年以下ですよね?」的な感じで認識している人が多いと思う。ここでいう120というのは1年間1m2あたりの一次エネルギー使用量の基準値、15というのは1年間1m2あたりの暖房負荷の基準値を表す。日本が最近はじめた一次エネルギーでの規制に対応するのは120の方になる。日本では暖房負荷という基準は、実は明確には表示されていない。
写真左:ドイツパッシブハウス基準の住宅(タキナミモデルハウスin福井)
写真右:スイスミネルギーPエコ基準の住宅(滋賀県小舟木エコ村)
次回は・・・各国の一次エネルギー比較