安藤忠雄さんの本から抜粋
「スイス特有の厳しい省エネ基準が、南側開口部に設置するルーバー、西側のダブルスキンのファサード等、新たなデザインヴォキャブラリーを生み出すきっかけとなった」
こう書かれると格好良く聞こえますが、要するに
「スイスでは基準が厳しいからいつものようには建てられない」
ということを正直に書かれているのです。安藤さんの建物は断熱性は低いですが「僕の建てる家は寒いですよ!!」と真実を正直に語るとことは好感を持っています。(同様の断熱性能の建物も「省エネ」だと言う建築家が結構います・・・)
この外観写真だけを見ると今までの安藤建築とは全く異なるデザインであるということが建築関係者なら一目瞭然だと思います。
この建物はスイスのバーゼルに建っています。
バーゼルの冬の寒さはだいたい福島と同等くらいです。
安藤忠雄さんなのに窓はトリプルガラスの樹脂スペーサー仕様です!!
(スイスの基準を知っている私でも腰が抜けそうなくらい衝撃でした)
国がエネルギー安全保障、国民の幸福、CO2問題等をまじめに考えている
とこのような基準になります。
逆に日本は世界のイケイケドンドンの建築家が
「施工技術は高くて断熱、省エネ基準は低いパラダイスだから
そこで見たことがないような空間を作って、賞とって凱旋する」
みたいな現象が起こっています。
そうして賞を取った建築家たちが「海外の有名な賞の受賞者」
ということでありがたがられてまた輸入されます・・・
今、世界で最も勢いがあると言ってもいいであろう建築家は
北京オリンピックの「鳥の巣」を設計したスイスの建築家
ヘルツォーグ&ド・ムーロンだと言っても反論はほとんどないと思います。
彼が来日した際、日本の建築物を見るたびに
「日本の建築家は卑怯だ」という発言を連発したそうです。
これは
「こんなに省エネ基準が緩かったらやりたい放題じゃないか!」
という意味が込められていると思われます。
こんなことで良いのだろうか・・・
今回のオリンピックスタジアム問題もこういうことに対して
少しは転換点になっているような気がしています。