今日は午前中は京都の城陽市というところで打合せでした。
昼からは滋賀のエコ村に移動しI邸の上棟に立会いました。
I邸は計画が始まってから実に4年の歳月が流れています。
在来木造でもない、2×4工法でもない、スイスで独自に開発された
リグノトレンド工法という構造を採用しています。船便でスイスから
構造材を運んで来ています。
断熱は木質繊維系の断熱材によるSBC工法と呼ばれるこれまた特殊な
工法で、防湿シートも石膏ボードも使わずに内部はソイルパネルと呼ばれる
土でできたボードを使います。
気密はポリエチレン等は使わずに透湿防水シートで確保します。
森みわさんが、奈良で作った木灯館の考え方にも似ていますが、
防湿層を使わなくても年中絶対に結露しないよう非定常結露計算にて
詳細なシミュレーションを行った結果の断面構成となっています。
なお、この分野はスイス連邦工科大学のヨーク・オスターマイヤー博士
が担当して下さいました。
日本とスイスの連携部分については東京大学のGさんのご尽力がありました。
ここまで来るのはまさに七転び八起きでした。言葉の壁につまずき、関連企業の
トラブルにつまずき、申請でつまづき、構造でつまずき、価格でつまずき、
担当者の病気につまずき、配送ミスにつまずき、補助金につまずき・・・
問題をクリアしたらまた新たな問題が出てくるということの繰り返しでした。
それでもIさんご家族の粘り強い忍耐力の結果、ここまでたどり着くことができました。
此処から先もまだ何かあるかもしれませんが、それでもここまでくればあとは日本国内
しかも現場で対処できることばかりです。あるとしてもこれまでの苦労ほど大きな苦労はないと
思っています。
私が知るかぎりですが、ミネルギーPエコ基準は今世界で一番厳しい基準だと思います。
Pはパッシブハウス基準のPなので躯体性能、及び日射取得性能も超一級です。
その上にミネルギー基準は一次エネルギー源がなにかということと、有害物質を使わない
ということに関して非常に厳しい基準がかかってきます。
このプロジェクトは2つの大学も絡んでいることから、かなりいろんなところに
ご披露することになると思います。また随時紹介していければと思っています。