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24時間換気システムの3~4倍に匹敵するレンジフードの熱量②

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解決策としての2つの方法
ではどうすれば良いのか?
一般的には2つの方法が考えられる。ひとつは一般的なレンジフードを使いながら、レンジフードに連動する形で気密ダンパーがついた専用の給気口をレンジフードの近くに設ける方法である。今思えば、昔の建物の方がこの方法をとっていたことが多い気がする。だが、最近の建物ではまずこれを採用している住宅を見ることはない。やらないよりはやったほうがいいのだが、難しい点もある。ガスコンロ使用時は、火に近すぎると炎が揺れる。また調理者が給気口とレンジフードの間に立つ位置関係になると、調理者はかなりの寒さを感じてしまう。
ということで、理想的には…というか、常識的には同時給排気型のレンジフードを使うべきである。一般的なレンジフードの場合排気用の直径150mmのダクトしかついていないが、このタイプは給気用としても同じ径のダクトがついている。これを使っても熱量としては同じ量が逃げてしまうが、大半は調理の熱から相殺することができる。少なくともリビングやダイニングの足元を冷気が強烈な勢いで通るということは、ほとんどなくなる。
熱のことだけを考えると、究極のレンジフードとして室内循環式レンジフードというものが数年前から日本でも発売されている。IH専用で、かつフィルターも何種類も交換しなければならないという手間もあるが、冷暖房費が節約できることと、より上質な室内環境が手に入ることを考えると、これもひとつの選択肢となるべき設備である。この手のレンジフードは日本では極めて珍しいが、ドイツではかなり一般化してきているようだ。実際、私はドイツでこれが使われている例を数例みかけた。
24時間換気システムの3~4倍に匹敵するレンジフードの熱量②
一般的な排気のみのレンジフードと同時給排気型のレンジフードとの冷気の動きの比較
メーカーと施主、両方にとって良い施策とは?
24時間換気システムの3~4倍に匹敵するレンジフードの熱量②
現在キッチンメーカーでは、上位4社でレンジフード市場の約85%を占めている
これまで述べてきたように、非常に大きな影響があるレンジフードだが、残念ながら上記で紹介した3方式のうち、どれかが実践出来ている住宅は、日本では今のところ1割もないのではないかと思う。
このような住まいの設備の熱損失量の問題は、建築学科でも教えてもらえない、国の基準にもない、確認検査機関からの指摘もなければ、キッチンメーカーからのアドバイスもないのである。その結果、日本全体として大量の熱と、エネルギーと、CO2とお金が捨てられているのだ。
だれかが基準をつくり、制度化するのを待っていてはどうにもならない。一番即効性があるのは、キッチンメーカー及びレンジフードメーカー自らが動くことだと思う。現在キッチンメーカーでは、上位4社でレンジフード市場の約85%を占めている。この4社がレンジフードのバリエーションを基本的には同時給排気型を推奨するものとし、それが出来ない場合はレンジフードの近くに専用の給気口を設けることを条件とすることでの販売を前提にすればよい話である。
これだと、商品バリエーションを変える必要もなく、キッチンメーカーの売上も上がり、施主の快適性はあがり、光熱費は下がる。まさにメーカーと施主、両方にとって良いことだと思う。
実は、すでにこのうちの2社とは直接この話をしている。あとの2社が動けばすぐにでも実現できる項目だと考えている。
この記事を読まれた読者の方々も以降のレンジフード選定は上記を考え、ぜひ間違いのない選択をしていただきたい。

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