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「気密」と「車のボディ剛性」には面白い共通点がある。

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「気密」と「車のボディ剛性」には面白い共通点がある。
ほんの10年ぐらい前までは住宅業界では
「高気密は危ない。中気密がいい」という意見が
住宅評論家まで含めても結構な比率を占めていました。
高気密のほうが正しいことは熱環境の専門家の間では常識でしたが
工務店や設計者といった実務者の間では主流にはなりえなかったのです。
それが今では化石や、霊感商法のようなことをやっている実務者を除けば、高気密のほうが主流派になりました。これはこれで非常に時間はかかりましたが、良いことに違いはありません。
なぜこれが全く分野の異なる「車のボディ剛性」に似ているのか?
小1から車の本を読んでいるのでクルマ本歴30年の自分として語らせてもらいます・・・・
10年位前まで結構な数の評論家が「ボディ剛性は強いほうが良い。でもあまり強すぎるのは良くない」みたいなことをいう方が結構いらっしゃいました。でも今の主流の考え方は「ボディ剛性は強ければ強いほど良い」というふうに確実に変わっています。昔から真理は変わっていないのですが、イメージだけで判断する評論家がそれだけ多かったということです。
「ボディがきちんと固まってこそ、サスペンションがしなやかに計算どおりに動くことで性能を発揮する」これが正しい理論です。
これは
「高気密がきちんとできてこそ、換気がきっちりと行われる」
という図式ともピッタリ一致します。
自動車も、住宅も売れるか売れないかはデザインが占める比率が高いのは今も昔も同じです。しかしながら、両方共デザインだけで良し悪しが決まるものではありません。デザインの前に工学的ないしずえがあるものです。業界が成熟する前はいい加減なイメージ先行でエンジニアリングが未熟な理論が業界内に跋扈します。
住宅業界はドイツに比べると断熱に関してはちょうど30年くらい遅れています。車に関しても最近でこそかなりドイツ車のボディ剛性、乗り心地に近づいてきたと言われていますが、ほんの10年ほど前まではかなり差をつけられていました。工学的に大局をおさえておく・・・これは絵画や音楽ではない建築ならではの特性ではないかと思います。

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