今日は私の家族にとっては特別な1日でした。
というのも、岡山に住む91歳の祖父と89歳の祖母が住み慣れた家を離れて
娘(私の母)が住む加古川の高齢者専用賃貸住宅に引っ越してきたからです。
ふたりともまだ頭も比較的しっかりしてはいますが、体力的に二人だけで住むことが
不可能になってきていました。車で2時間ほどの距離ですが、最近では両親が週に2回
かそれ以上帰省しなければならないような状態でした。
祖父は10歳のころからなので、80年、祖母は結婚してからなので約70年は住み続けてきた
住宅です。私の母も生まれてから20年ほどずっとそこに住んでいましたし、私も生まれたときから
帰省といえばこの家と、今は亡き父方の祖父母の家でした。
私自身も高1までは集合住宅、高2、高3は新築戸建に引っ越し、それからは家を出たので
故郷と呼べるところは岡山の祖父母宅だけになっていました。
そんな私でもその家から人がいなくなってしまうことはやはり寂しさを感じました。
ましてやそこで人生のすべてをしかも農業をやりながら過ごしてきた祖父母のことを考えると
本当に離れるのは寂しかったと思います。昨日まで、入れ替わり立ち替わりご近所の方が
挨拶に来られたようで、さすがに感極まって涙することもあったようです。そのせいか今日は
すっきりと旅立つことができたようです。
この家は手放すわけではありません。ですから、私達のように跡を継ぐ人間がちょくちょく現地に
行って手入れをしてあげれば、それなりに保つことはできます。しかし、それを怠れば、家が傷むのは
本当に早いです。私達家族にとっては最後の故郷というべくこの住宅をできるだけ綺麗に保って
いくことが大変だとは思いますが役割なのかと思います。
すでに多くの日本人がこういった故郷と呼べるような土地もしくは家を失っているのではないかと
思います。こういう場所があることは非常に幸せなことだと思います。しかし、高齢化と過疎化が進む
日本では今から20年以内くらいに、このような空き家が増え、誰もいない村が増えていくそうです。
その結果、日本の面積の6割に当たる場所から人がいなくなると、国交省では予想されています。
ご先祖様が育ててくれた山も手入れができず荒れ放題になっています。食料自給率の話もあります。
不況で仕事のない方、体は健康だけれども生活保護を受けている方などがこういった空き家に住み、
田舎で農業、もしくは林業に携わっていけないものか・・・。真剣にそんなことを考えてしまいました。
今日は会社を早退して娘も連れて祖父母に会いに行きましたが、家族みんなで迎え入れたことを非常に
喜んでくれていました。慣れ親しんだ家を離れて味気ないワンルームに越してきたわけです。できる限り
家族で顔を見せにいく機会を作ろうと思っています。
林業に携わるような仕組みをつくる