太陽光発電の効率よりも冬の南窓からの集熱効率のほうが4.3倍くらい良い!?
太陽光発電の効率よりも冬の南窓からの集熱効率のほうが4.3倍くらい良い!?
今日は休みで娘を連れて姫路セントラルパークに行ってきました。
そうしたら、偶然ながらOB客のT様ご一家も来ておられました。
なんと今回は2回めです。他のお施主様でも何度かありますが、世の中
狭いもんです。
家に帰ってくると、ちょっと早いのですが、娘がバレンタインのケーキも作って
くれました。最高のバレンタインでした。
今日は窓からの日射取得を捨てることがどれほどもったいないかということを
簡単な計算で示してみたいと思います。
今太陽光発電がものすごい勢いで増えています。これはこれで決して悪いことでは
ない、むしろ良いことなんですが、順序を間違えると決して良いとはいえません。
最近増えているのが断熱的にペラペラの状態で太陽光に先に予算を配分してしまっている
ような例です。これは、原理原則を考えればありえない話なんですが、なんと恥ずかしいことに
大半の大手メーカーもこの路線で行っているところをたくさん見受けます。
太陽光発電は例えばよくある4kW設置している住宅の場合だいたい、年間で4000kWhくらい
発電します。今の単結晶シリコンのパネルの場合1kWあたりだいたい6㎡必要です。
ということは4kW載せようと思うと約24㎡屋根面が必要になることがわかります。
ここから逆算すると4000÷24≒167kwhを1年間、1㎡あたりで発電することが
できるということになります。
ひるがえって、南面窓からの日射量はどうでしょう。東京や大阪くらいの場合
11月から3月までの暖房が必要な期間の南面の日射量はだいたい月に100kwh/㎡くらいです。
日射取得の話なのでこれが12ヶ月続くと仮定しなければ効率の比較にならないので今回は
そのように計算します。そうすると1年間だと1200kwh/㎡も日射が当たることがわかります。
しかし、南面の日射取得率は60%くらいのことが多いので、
1200×0.6=720kwh/㎡年にもなります。
太陽光発電の効率と単純に比較すると(電気エネルギーと熱エネルギーを比較することになりますが
エネルギーであることに変わりはありません)
720÷167=4.3倍もの差になります。
167kwhを実効COPが3のエアコンで活用すれば3倍の501kwh相当の熱を引き出すことに相当します。
それでもまだ太陽光からの直接集熱の効率には遠く及びません。
太陽光発電の場合、効率を1%あげるのに皆血眼になっているのに、窓に関して言えば上げようとするどころか
南面に「遮熱ガラス」を使って下げようとしている人のほうが多いのです。(ちなみに今現在の太陽光発電の効率は
だいたい16%くらいのものが多いと思います。窓の60%に比べると非常に小さいですね)
更に言うと、皆太陽光を必死になって「0.1kwでも多く載せよう」としているのに
窓に関しては「南の窓の大きさには誰もこだわりを持っていません」
当たり前ですが、太陽光発電は有料で、南面からの太陽光の集熱は無料です。
しかも効率が4.3倍も違うのです。
(もちろん夏は逆に日射が悪さをし、夜は窓からの熱の逃げもあるのですが、今回の
単純計算ではそこを無視しています。いずれにしても、庇や高断熱窓をうまく使えば
一年を通して熱的収支は必ず得になる設計は普通に実現可能です)
この事実、一般の方が知らないのはいたし方ありませんが、実務者である設計事務所も
工務店も、ハウスメーカーの設計マンもちゃんとわかっている人が非常に少ないのです。
比較的高めで効率に劣る太陽光を先に買わせておいて
無料で効率が良い南からの日射取得については触れもしない・・・・。
これってお客様の貴重なご予算を無駄にしている以外のなにになるでしょう?
極論を述べますが、世帯収入が1000万以下の家庭においてこれだけの経済的価値を
拾わないという選択肢はなにをどのように考えてもありえないと思うのです。
無料で拾ってもなんの罪にも問われないお金が無尽蔵に広がっているわけですから・・・