洋上風力発電の現状と将来展望
洋上風力発電の現状と将来展望
昨日のブログを書くに当たって色々調べていると題目の論文を見つけました
http://windeng.t.u-tokyo.ac.jp/ishihara/article/2012-2.pdf
今まで、洋上風力は日本に向いてはいるけれどもいかんせん高いというイメージが
強かったのであまり調べていませんでした。
詳しくはこの論文を読んでいただければと思うのですが、興味深いところを抜粋して紹介します。
・2011年末の世界の風力発電設備量は日本の10電力会社が保有する容量を超えている。
・東京,ニューヨークのような大都市では風が弱いが,近隣する洋上の風は強く,膨大な風力エ
ネルギー賦存量がある。また陸上に比べ,洋上では景観や騒音等の環境問題が少ないという
利点がある。さらに道路等の制約条件を受けないため,大型風車の運搬・設置が容易である。
・洋上敷地の制限も少なく,大規模風力発電所を建設でき,風車の大型化とウィンドファームの
大規模化によるコスト低減が可能である。また大電力消費地の近くでは電力系統が強く,
大規模洋上風力発電所の系統連系が容易である。
・2007年にイギリス政府は3300万kWの洋上風力を開発するという野心的な目標を発表した。
事業規模は約13兆円に上り,送電網の整備だけでも2兆円に達する。この計画では2020年までに
7000基以上の洋上風車を設置し,英国の全消費電力の3分の1を賄う。
(ちなみに原発1台がおよそ100~130万KW、ただし、稼働率が風力は原発の1/3程度なので
原発なら1000万kw分に相当、それでも原発10台分に相当、3.11前の日本では常時
30台ちょっとしか動いていなかったことを考えるとものすごい量)
・2011年末にイギリスの洋上風力発電の設備容量は209万KW、2016年に800万kw
2020年には1800万kwに達する予定(これに対して日本は陸上を含めて2012年初め
の時点で250万kw)
・中国は2020年に3000万kwを目標にしている
・2011年比で2017年には世界全体で17倍になる予定
・今現在は陸上風力の2倍のコストがかかるが2030年には現状の陸上風力同等にすることが目標
とこんな感じです。
イギリスの人口は6200万くらいと日本の約半分(面積は2/3)でかつ先進国で島国です。イギリスが
2030年までに3300万kwを目標にするなら日本は最低でもそれ以上はいけるはずです。
それでも原発10台分くらいにはなります。現状でも大飯原発が動いているだけです。
また、ドイツのように各業界の省エネを徹底すれば経済成長がプラスでもエネルギーは減らす
ことも可能です。
さらにいうと、2030年には残念ながら日本の人口は現状から1割減ってしまうというのが
かなり確率の高い予測です。中国はありとあらゆる人権、環境問題を抱えてはいます。しかし、
同時に太陽光や風力といった自然エネルギーにはものすごく力を入れています。残念ながらこの分野では
日本は完全に負けています。
エネルギーの安全保障、CO2、国内の雇用促進(小規模分散型で工事があちこちで発生)
海外へのエネルギー費用流出の削減、原発がないことによる安全性の向上
数字で検証すればするほど、自然エネルギーのポテンシャルは年々驚くほどあがっています。