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冷暖房方式を激安で失敗なく開発する方法

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最近、見よう見まねで床下エアコンをやっている工務店が激増しています。
そして「効かない」という人が結構いらっしゃいます。床下エアコンは小屋裏エアコンに比べたらヒジョーーーに簡単なシステムですがそれでも失敗させる人がたくさんいらっしゃるようです。
失敗している理由は共通しています。
・建物の断熱性能が足りない
・必要なエアコン容量を計算していない
・床下基礎の立ち上がりの通風計画の失敗
・設置位置の失敗
・設置方法の失敗
・運転方法を施主に説明していない
(そもそも設計者自身がどのように使えばいいかすら分かっていない)
このようなことをやっていて効くこともあるかもしれませんが、それはサイコロを振っているのと何らかわりません。
新しい冷暖房方式に自ら取り組もうという心意気まではいいのですが、それをやる場合、大手メーカー、もしくは冷暖房機器メーカーであれば膨大な計算、実験等による実測を行った上で製品化しています。もちろん彼らの方が知識レベルも上です。
その彼らより知識レベル、資金力も下の人がシステムを組むということはそれ相応のやりかたがあります。
まず絶対やるべきことは
・熱の収支を計算するということ
冬であれば出ていく熱、日射取得熱、内部発熱を計算してそこから容量を計算する。当たり前なんですが、これをやっている実務者は絶対に1割もいません。ほぼ間違いなく5%以下でしょう。
・物理に反することはやらない
例えば暖かい空気は上に上がる。冷たい空気は下に下る。人は頭寒足熱を好む・・・こういったことを理解した上でこれらの基本原則に反するようなシステムを組んでいるとうまくいかない確率が大幅にあがります。
・最近カウンターアローファンを使ったりして空気を流す方式を採用する人が増えています。そういう方々に「そのファンをつけることでどれだけの熱量が運べてますか?」と聞いてみるといいです。殆どの方が計算すらしていません。空気を流す場合、温度差がいくらの空気を何㎥移動させるかがわかれば、熱量はすぐに計算できます。
・上記は全てきちんと押さえた上で余裕率をいくらか見込む
それでも失敗することはあります。その際のプランBを用意しておきます。例えば個別エアコンに対応できるようにコンセントを仕込んでおく・・・等です。そして失敗したらその確実に効くプランBを実行し、その際の追加費用は当然自社で負担する・・・
こういうことを繰り返して、10名ほどの小企業である当社はいろんな方式を開発してきました。計算して、物理に素直にやっても実際にやってみると上手くいかないことというのが絶対にいくらかはあるものです。それを確認することが重要なのですが、これらの手順を踏んでいる人は相当な上級者だけで、殆どの実務者がサイコロを振るだけで、失敗した時の負担はお施主様・・・もしくはもう少し良心的な企業であれば、かなり大きな追加費用を負担するという方式を取っていると思います。
参考になれば幸いです。
2017年6月1日

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