大前研一さんがドイツとスイスの地方分権、マイスター制度を評価されてます。
大前研一さんがドイツとスイスの地方分権、マイスター制度を評価されてます。
大前研一さんといえば、日本人の間でも有名ですが、むしろ世界中での知名度の
方が高いかもしれません。
世界のグールー17人にも選ばれ、20年前からマレーシアのマハティール
首相の参謀として活躍し、マレーシアを急激に発展させたことも有名です。
日本人の講演者で一番講演料が高いとも言われ、噂によると90分で500万円と
いうのも聞いたことがあります。
そんな彼の最近の著作に「低欲望社会」というのがあり、父がくれたので読んでみました。
ちなみに私もこの方の著作は結構好きで、20年位前に出版された平成維新などは
本当に画期的な内容だったと思っています。
で、今回の内容は「皆が等しく貧乏になる国で本当にいいのか?」
という提言から始まっているのですが、
著書の中で以下のような点でドイツやスイスのことを評価していました。
・「大学を減らして職業訓練校を作れ」
例えばドイツでは職業訓練専門学校の多くがデュアルシステムになっている。これは一週間のうち
2日間は学校で理論を学び、3日間は会社に行って実習するというシステムだ。大学を卒業して5,6年は
まともな戦力にならないが、職業訓練専門学校を卒業すれば20歳で自分の腕で飯を食べていけるだけの
技術をみにつけることができるのだ。そして会社に入るときは350くらいの職種があり、その中から専門にする
職種をひとつ選んで腕を磨いていく。職種の中にはグレードが有り、上がるに連れて給料もあがっていく。
最上位はマイスターでこのような制度のおかげで、職業訓練専門学校を卒業した人たちの生涯給、価値とも
に大卒者と変わらないため、社会が非常に安定する
・「雇用ミスマッチなどないドイツ」
子どもたちは大学に行くのか、デュアルシステムやフルタイムの職業訓練校で手に職をつけるのかということを
10歳くらいから考えはじめ、12歳の時点で選択する。デュアルシステムを選択するものが7割くらいで
こちらのほうが大卒者よりも安定した生活をおくることができるそうだ。
日本では新卒者の3年以内の離職率が大卒で3割、高卒で4割だそうだが、ドイツでは小さい頃から考え
長い研修期間も経てから就職するので就職後すぐ辞めるということが非常に少ない
・地方自治の自治の必要条件は「立法権」「司法権」「行政権」を地方自治体がそれぞれきちんと持っている
ということだ。日本の場合司法権だけは各地方にあるが、それもすべて国家機関である。立法と行政は国にしかない。
つまり日本の地方に自治はなく、自治なき地方に立法を生業とする議会は不要なのである。
(ここはかなり極論ですが、言わんとすることはよくわかりました)
・例えばドイツの場合は16の州それぞれが独自の州憲法、州政府、州議会、州裁判所を持っている。各州
が立法権、司法権、行政権はもとより徴税権まで有し、外務大臣や財務大臣などもいるひとつの国家である
・アメリカの場合、地方議員の年間報酬は50万円くらいで、議会はスイスと同じで平日の夜に開催される
イギリス、フラン、スウェーデンなども地方議会は原則無休である。先進国の地方議会はいわばマンションの
管理組合の理事会のようなものであり、地方議員は地域社会のため、住民のためのボランティアで働く
のが常識なのである。
(これを視察した日本の地方議員団が、現地で「女が無給でできるような地方議員なんぞ議員ではない」
といった悪態をついて、日本人ガイドが辟易としたというはなしをドイツで聞いたことがあります・・・)
・かねてから道州制を導入してドイツ型やスイス型の連邦制に移行し、地方が三権と徴税権を持った地方
自治を実現しなければ衰退する日本の復活はない。(私もホントにそう思います)今後もこのまま
「なんちゃって地方自治」が維持されるなら、せめて地方議員は無給のボランティアにすべきだと思う。
(これも極論かもしれませんが、無給でもやろうという人は金銭的に余裕があって、しかも
私欲がない人が多くなる可能性はあると思います。おそらくですが、無給になった時点で立候補を
辞めてしまう。生活のためだった議員が多数あぶり出されるのではないかと思います)
・日本の経営者70人を引率して視察してきたドイツ各州の関係者は「邪魔者はベルリン(中央政府)
だ。何か問題があったら、我々はブリュッセル(EU)と交渉する」と異口同音に話していた。ドイツの州は
国家を超えてヨーロッパ全体、さらには世界中のマーケットを相手にしているのだ。そのため州ごとに
独自の産業や企業が発達し、高い競争力を誇っているのである。
とまあ、こんな感じでした。
若者論に関しては今話題の古市憲寿さんにゆずるとして、(これはこれでまた紹介したいと思います)
全てとは言いませんが、だいたい納得出来る内容でした。臭いものにフタをし続ける日本の
やりかたがいつまで続くのか・・・そのことが、頭から離れないことは紛れもない事実です。
ごく一部しか紹介出来ませんでしたが、興味のある方は読んでみて下さい。