宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論
宇宙はなぜこのような宇宙なのか―人間原理と宇宙論
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ここ1ヶ月くらいまた宇宙に関する理論物理学系の本でいい本が立て続けに出ているので
何冊か読みました。私は宇宙といっても「ハッブルからどう見えるか?」というような
ことよりも、宇宙は複数あるのか?ダークマターとは?人間原理とは?といった
理論物理学系の本が大好きです。おそらく今までこの分野に関する本は数十冊単位で
読んできました。
今回の著者は理論物理学者でもありながら、世界の理論物理学者の翻訳の方を
メインにされている青木薫さんのです。
今、確定しているわけではありませんが、宇宙に関する理論物理学の世界では
「宇宙はたったひとつではなく複数(多数)ある」という説の方が有力です。
最近宇宙の年齢が137億歳から138億歳に訂正が入ったばかりですが、
そんな138億歳の宇宙は我々が住む宇宙です。
「世の中」といっていいのかどうかわかりませんが、それしかいいようがないので
世の中ということにします。この世の中には我々が住む宇宙以外にも多数の観測されていない、
もしくは今後も観測不可能かもしれない宇宙が多数あるということです。
実際に、我々は138億年の宇宙の歴史の中で700万年前にチンパンジーと分岐し
2万年前くらいにホモ・サピエンスとして現代人としての歩み始めたわけです。
これだけ見るとさも当たり前のように見えます。しかし、ありとあらゆる
物理条件がものすごく絶妙に重なりあったときしか生物、ましてや知能を持った高等生物は
存在しえないことがわかっています。
適当ですが、例えるなら、人間がここに今存在できているのは
「1兆の1兆倍分の1をはるかに下回るほど絶妙な確率の上に成り立っている」
というような言い方ができます。
こういったことを見ると「やはり神は存在するのか?」という議論になりがちですが
ここまでくると「人間が存在するためにこの宇宙がファインチューニングされている」
というような考え方を持つ物理学者が出てきます。こういった考え方を人間原理といいます。
純粋な物理学者ほどこの考え方を嫌うようですが、これを解消する可能性を秘めているのが
多宇宙(マルチバース)の考え方です。「宇宙が異常に多数存在し、そのうちのたまたま
人間が生まれるのに適した環境が整っているのが我々の宇宙である」というような考え方です。
そんな馬鹿な!!と思うかもしれませんが、今の理論物理学の世界ではこの考え方が
主流のようです。私もたくさんの本を読みましたがそっちの考え方に引き寄せられています。
この理論以上に全く定まっていない理論として数学の世界から考えだされた
「超ひも理論」というものがあります。今現在宇宙に存在する「重力」「電磁力」「強い力」「弱い力」という
4つの全ての力をひとつの式で表現できるという理論です。この理論をもってすれば、全く相容れることのない
相対性理論(マクロの世界)と量子力学(ミクロの世界)を矛盾なく説明できます。
夢の理論ですが、この理論が成立するためには次元が11も必要となります。
我々が認識できているのはX、Y、Zの3次元に時間を加えた4次元だけです。
あと7つも次元が必要なわけですが、世界の誰一人として5次元目すら見つけられていません。
例えば、その残り7次元が見えない多宇宙であるとか、ブラックホールの向こう側にあるとか
そういうことなのかもしれませんが、まだ誰にもわかりません。こういったことがここ100年の
流れとともに非常にわかりやすく書かれています。難解な数式等は一切出て来ません。
このブログを読んで面白いと思われた方はぜひ読んで見てください。
ちなみに最近のノンフィクションでベスト10に入っていました。