2017年11月9日
サヴォア邸まとめ
1930年頃に建てられたので既に90年近く経っている住宅です。近代建築の5原則を確立したことはあまりにも有名で建築学科の授業では必ず習いますし、建築士の試験にも出るくらいです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/サ�…
そこは他に譲るとして、行ってみないと分からないことをまとめてみます。
通常、大抵の未来予想デザインというのは劇的に外れるものです。30年前に予想された30年後の車でも建物でも今見ると笑ってしまうような外れっぷりを感じさせるものが大半だと思います。そんな中でコルビジェの作品は決定的に違います。今見ても決して古さを感じさせません。それどころか世界中の建築家が、未だに彼の影響を意識的か無意識的かは別として受けまくっていることがよく分かります。現地に行ってみて最も痛感したことはまさにそのことでした。
90年近く前の住宅でも家全体をきちんと温めようとする努力だけは見られたこともさすがはヨーロッパだと思いました。「家を暖かくする」ということに関する努力はガイドさん曰く古代ローマ時代から見られるとのこと!!これには驚かされました。AIが発展した2017年においても家全体を暖かくする意識が希薄な日本とは2000年以上の差があると思いました。
装飾全盛のそれまでの建築とは全く異なり、とにかく線を少なく、シンプルにデザインすること、そして内と外のつながり、屋上や中庭の有効利用、今の住宅建築家が大事にすることの大半がここからスタートしたのだということが身にしみました。
でもやはり、竣工当初から寒さと雨漏りに悩まされ続けたそうです。現代の建築家はそんなところまできっちり真似してしまった・・・・そう考えるとそこは真似しなくても良かったのに・・・というか同じ轍を踏まないようにすることこそが進化であり、学習というものなのに・・・と思わなくもありませんでした。
最後にほぼ同じ時期に建てられた日本の未来住宅として聴竹居があります。
http://www.chochikukyo.com/about/index.html
これも数か月前に見に行って凄いと思いました。それでも違うのはあの建築を実際に真似している人の数が圧倒的に少ないということ、今見ても美しいことは共通ですが、今見ても新しいとは思わないということは相違点だと感じました。いずれにしても日本だと藁葺で囲炉裏と土間の住宅が大半であった時期に、今の建築家向けの専門誌に掲載しても違和感がないデザインというのは天才というか超絶的センスというか驚嘆する以外なかったです。