私は行けなかったのですが、今瀧が先週末、半年ほど前に引き渡したM邸にお伺い
してきて聞いた話です。
太陽光は載せていませんが、この家では24時間小屋裏のエアコン1台だけを
つけっぱなしにしていました。なんと無駄な・・・と思うかもしれませんが、
きちっとした性能の家を作るとこの使い方のほうが省エネかつ低コストになる
場合が多いです。
先日も似たような記事を書きましたが、その家に比べると多少断熱性能は
落ちます。それにプラスしてご主人が特に暑がりで普段は27℃くらいに設定
していてもご主人は勝手に温度を下げたりした上での金額です。
1ヶ月5500円と聞くと「高い!」と思うかもしれません。
しかし、1日なら約180円です!1時間なら7.5円程度です。
タバコを吸う人ならそれよりずっと安いですし、暑いからといって
缶ジュースを1本でも多く買ったり、シャワーを1階でも多く浴びるようで
あれば、それらのコストの方がはるかに高くつくわけです。
しかもこの生活をしていると、夏の困りものである異常な湿気と
それによるダニやカビとも無縁の生活がおくれるわけです。
それでも高いという人がいるでしょうか?
これを電気の使用量に逆算してみたいと思います。
1時間に7.5円ですが、ファンが回っていることも差し引くと
エアコンが使っている電気は7円くらいだと思われます。
1000W1時間の電気代を25円とするとこのエアコンは
1時間平均280Wの電気を消費していることになります。
実効COPが4とすると、冷房能力は1120W
世間一般で6畳用と言われるエアコンの冷房能力は
2200Wなのでこの住宅は電気メーカーの表示方法で
いうと3畳用のエアコンで家まるごと冷房していることに相当します!
ちなみに40坪というのは80畳のことなので大げさにいえばメーカー表記の
1/27の大きさのエアコンでも事足りるという計算になります。
エアコンを使った上手な冷房設計は暖房のそれよりも難しいと思われます。
暖房であれば、東北の方に先人たちがたくさんいらっしゃり、見習える先例等も
たくさんありますが、冷房に関してはそういう例はほぼありません。
これは将棋の羽生善治さんが言うところの「高速道路を作っている状態」
(自分が新たな道を切り開いている状態)であるが故の難しさかもしれません。
しかし、年間20棟くらいやっている上、小屋裏冷房の知見もだいぶんたまって
きました。床下エアコンは随分前に完成の域に入りましたが、小屋裏エアコンも
それに近いところまできました。やはり計算、工夫、改良、実体験の数といったことは
こういうことをやるには本当に重要だと思います。