1. HOME
  2. ブログ
  3. 建築家の「少し寒いくらいのほうがいい」という詭弁

建築家の「少し寒いくらいのほうがいい」という詭弁

Facebook にシェア
Pocket


全ての建築家もしくは建築士とは言いませんが大半といっていいと思います。
自分が設計する建物の断熱性が足りないことを言い訳する際によく言うのが
「少し寒いくらいのほうがいい」というものです。
まず最初に断っておかなければならないのが、こういうことをいう建築家の
設計する建物は決して「少し寒い」ではありません。
「強烈に寒い」です。まずこの時点で大嘘です。
次に、衣服で考えてみたいと思います。本当に少し寒い方がいいと思っているので
あれば、衣服を選ぶとき、快適であるところからわざと一枚脱いでいるでしょうか?
もしくは寒さを感じずに仕事ができる温度からわざと暖房設定温度を数度下げて
いるでしょうか?
人によって快適温度は違うわけですから、これは「自分にとって少し寒い」
ところを目標とするわけです。しかし、当たり前ですがそんなことをする人は
まずいません。衣服であれば、個人個人が自分の感覚にあわせて選択することが
できます。しかし、建築は一度建ててしまうとそれが不可能になります。だからこそ
プロはその選択に慎重にならなければならないわけです。
そもそも、彼らが「少し寒い方がいい」なんていっているのにはなんの根拠もありません。
単純に自分の建物がデザイン重視、コスト重視、周りの建築家の水準と同等という
状況だと寒いのでそれを正当化するために適当なことを言っているだけです。
寒さが健康に悪影響を及ぼすという論文は数あれど、逆を謳った論文など見たことが
ありません。
家の暖かさを語るのであれば最適な指標はQ値でもなく、C値でもなく
暖房負荷、もしくは自然温度差であり
家の涼しさを語るのであればそれは
冷房負荷となります。
決して「◯◯工法だから」といったいい加減なトークに惑わされないで下さい!
今はまだ、建築実務者ですら自分の関わる建物の暖房負荷や冷房負荷を
知りません。これがわかるような状態に一刻も早くもっていけるよう、仲間内では
動き始めています。

関連記事

著書紹介

過去の記事