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幸福度世界一の国デンマークの感想(7)

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幸福度世界一の国デンマークの感想(7)
「大工の時給1万円!!」
だそうです・・・。日本だと良くて3000円くらいでしょうか・・・
この数字を見ただけでも驚かれると思います。しかし、言いたいのはそこではありません。以下本からの引用です。
「デンマークで働く職人は同一職種では雇用先、国籍に関係なく同一の報酬が保証されているのです。(これだけ見ると少々社会主義的ですね)安い労働賃金で諸外国から労働者を入れることを許容すると人件費の高いデンマークの労働者は職場をうばわれることになります。安い労賃がまかり通ると早晩、デンマーク人の労賃もダンピングされていきます。悪貨が良貨を駆逐するように最低賃金が最低賃金をつねに追い抜いていくのです。そして、全体として労働賃金が下がっていくと税収が減り、その反面で失業保険、生活保護などの国の負担が増加します。」
これは簡単に答えが出せる問題ではありませんが、まさに日本が歩んで来た失敗の部分を見事に表現しているようにも見えます。
これらのことが可能にするために職人の労賃の決定に関して職人組合がお大きな力を持っているようです。日本と違うのは企業別組合ではなく、職種別の組合となっていることでデンマークには33の職種別組合があり、労働人口の8割がこれに加入しているとのこと。なので、企業間の価格競争も日本ほど激しくないということでしょう。
これは日本人からするとある種の談合に見えるかもしれません。しかし、日本でもこれに近いのが医師会ではないかと思っています。元から医師の世界は給与が高いという印象が持たれることが多いですが、それは医師という職業の世界では同サービス同給与というのが徹底されているからではないかと思います。これができると、業界の給与水準が上がるでしょうが、価格を下げることで勝負する業者は残れなくなる確率が高いです。イコール価格だけで勝負する安売り業者が存在しにくくなるので粗悪品が減る可能性が高くなること、社会全体が付加価値重視型に変わる可能性が高いとも言えるのかもしれません。
そのかわりといってはなんですが、それぞれの職業につくためには職業別専門学校を卒業しなければなりません。また、職種によっては大学の指定の学部を卒業していなければなりません。このあたりはドイツなどのマイスター制度とも似ています。

こういった制度を見ていて思うのは日本で今問題になっている職人不足、職人の地位低下、職人の一定知識の欠如、といった問題がほぼ解決されているということです。こういった国では変にホワイトカラーになるよりも職人の方が給料が良く、安定していることがよく見受けられます。またパンならパン、大工なら大工でマイスターを取らなければ、店主になることができません。そしてそうなるためには、大工になるための最低限の知識はもちろんのこと、建築物理、お金の扱い等園周辺に関わる最低限の項目も勉強しなければならないようです。だから、あちらの職人さんは日本の職人さんよりも仕事は雑なところもありますが、広範囲な専門知識を身につけている方が多いです。そして、尊敬されているということがよくわかります。
このあたりに関しては大前研一さんなんかもドイツのマイスター制度を日本に入れるべきだと提言んしており、実際つい数カ月前、日本でも日本版マイスター制度なるものを「かる~く」発表しました。http://www.jiji.com/jc/zc?k=201505/2015052400068
時に日本もこういった良い発表をするのですが、どれも真剣さが足りず、ほとんんどが掛け声倒れで終わってしまうんですよね・・・。そういうの見るたびに複雑な心境になります。

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