私が育った実家には特にこれといった家訓というものはありませんでした。
また、今現在世帯主となっていますが、松尾家に家訓というものはこれまで
ありませんでした。
しかし、ひとつくらいあってもいいかなとふと思いました。
そのきっかけになったのがだいぶん前にテレビか雑誌で見た面白い家訓
特集でした。
その中に「火を絶やしてはならない」という家訓をもつ家が登場していました。
この家ではろうそくだったと思うのですが、いついかなる時もずっと誰かが
消えることなく管理しておかなくてはならないというものでした。それは結構大変な
ことで、旅行に行くにも誰かが残らねばならず、日常生活にもかなりの支障をきたして
いるようでしたが、それでも忠実に守り続けておられたのが強烈に印象に残っています。
そこで、私が思ったのが、いかにも私らしいのですが、「暖を絶やしてはならない」
というものです。
ここ数日のブログにも書いてきましたが、冬場の引渡しの瞬間はどんな家でも
かなり寒いものです。人が住んでいないから内部発熱もなく、シャッター等があれば
閉められていることも多いので当然といえば、当然です。しかも住み始めても
最初の2日間くらいは壁、床、天井を暖めるのに時間がかかります。
しかし、いったん壁、床、天井まで芯から温まってしまえばしめたものです。
あとは、人間や、電化製品、そしてなにより日射だけでもかなり温まります。
夜だけはどうしても熱を足してやらなければなりませんが、その熱も深夜電力
かつヒートポンプで足してやれば格安で済みます。もちろん朝起きたら十分に
暖かいので起きるのも苦になりません。
旅行などに出かける際も、長期でないのであれば、若干温度を下げても
いいですが、タイマー制御等で家を冷やし切らないことは今なら可能です。
暖かさが健康と直結していることはもはや厳然たる事実です。
そして、人は暖かいところに集まる習性があります。
寒い家ではこたつ、もしくはファンヒーター等のまわりに家族が集まることは
誰もが知っていますし、私が設計したたくさんの暖かい家は子供でも「暖かい」
ということで溜まり場になっています。
人が集うところというのは運気がいいということもなくはないでしょう。
そう考えると、「暖を絶やしてはならない」というのは一見単純に見えながらも
実は非常に深い家訓となっても恥ずかしくない言葉のように思えます。
皆さんはどう思われますか?