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放射冷却がきちんとわかればいろんなことが腑に落ちる(前編)

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天気予報を見ていると「明朝は放射冷却の影響で冷え込みが激しくなります」
的な言葉がよく聞かれます。
しかし、この言葉の意味を気象予報士以外の方できちんと理解できている人は
相当少ないのではないかと思います。
まずはこの言葉の意味をわかりやすく図解しているサイトがあるので
そちらを見てみましょう。
http://www.jma-net.go.jp/matsue/chisiki/column/phenomena/radcooling.html
そもそも放射とは重力や磁力の如く2つの物体間が真空であってもいくら距離が離れていても
働く電磁波の形での熱のやりとりをあらわします。もちろんその場合、熱いものから
冷たいものへ熱エネルギーは流れます。(目視で見えている物どおし)
外気温が0℃の場合、外にあるものはたいてい0℃になります。
しかし広大な宇宙空間の平均温度は約-270℃というほとんど絶対零度に近い
極低温の世界です。
雲があれば、地上の物体と上方向の放射のやりとりは雲とのやりとりとなるので
そんなに冷やされることはありません。ところが晴天で雲がない場合、放射のやりとりは
広大かつ極低温の宇宙とのやりとりとなります。当然温度はどんどん奪われていきます。
夏でも雲がなければ放射冷却という言葉が使われるのはこのためです。
これが理解できると身の回りでよく起こるひとつの現象の謎を解くことができます。
冬場、屋根なしで車を外に置いていると車の上面はガラスもルーフもボンネットも
ほとんど霜が降りてしまいます。
しかし、屋根の下に置いていると屋根に霜が降りて車には霜が降りません。
子供でも知っている常識ですが、その理由をきちんと説明出来る人は少ない
かとおもいますが、これは放射冷却で説明出来ます。
本来、同じ外気温のもとに置いていれば、屋根だろうと車だろうと同じ
温度のはずです。霜というのは結露が凍っているものですから、結露が
起こるということはその表面が露点に達している必要があります。
屋根では結露が生じて、車には結露が生じないとなると屋根のほうが
車より温度が低いことになります。こうなると当初の前提である
同じ外気温の元においていたら同じ温度であるということに矛盾が
生じます。この矛盾を解く鍵が放射にあります。
屋根があれば屋根は宇宙と放射のやりとりをし、車は屋根と放射の
やりとりをします。屋根の温度はせいぜい0℃くらいなので
車は放射冷却ではほとんど熱を奪われません。
逆に屋根の方は-270℃を相手に放射冷却されてしまいます。
当然かなり温度は下がります。
これが屋根があると車に霜が降りないことに対する謎解きです。
ちょっと難しいかもしれませんが理解できたでしょうか?

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