なぜダウンジャケットはあんなにも暖かいのか?
なぜダウンジャケットはあんなにも暖かいのか?
季節外れなネタですいません。衣替えで今年無くなっていたと思って見つからなかった
ダウンジャケットが押入れの奥から出て来ました。おかげで今年の冬は何度か寒い思いを
しました。
私は寒がりですが、ノースフェイスのダウンジャケットさえあれば、あとは半袖のTシャツ1枚でも
1度も寒いと感じたことがありません。他のジャンパー等であれば、長袖の綿の下着、長袖の
ニット、ウールのセーターを下に着ていても寒い時は寒いものです。
なぜあれほどに違うのか?理屈はわかってはいましたが、実際に計算して検証してみたことが
ありませんでした。気になったら調べずにはいられない質なので早速ぐぐってみました。
ダウン+熱伝導率、羽毛+熱伝導率と検索しても思うような資料はなかなか出て来ません。
しかし、ひとつだけそれらしいものを見つけました。しかし、建築業界では見かけない単位
だったので換算が必要でした。
その結果が次のとおりです。
羽毛 0.037
ウール 0.037
綿 0.062
でした。高性能グラスウールの16Kが0.038なので
羽毛もウールもだいたいそれに近い値のようです。
最高レベルであるフェノールフォームが0.020なので
断熱材としてみれば、それほど超高性能ではありませんでした。
出典元のデータが間違っていないか確認するために建築業界にも
普通に存在するウール断熱材の熱伝導率も調べてみると0.040くらい
が一般的です。誤差はあるかもしれませんが、出典元も換算も大きくは
違わないと思います。
断熱性は熱抵抗値というもので表すことができます。
熱抵抗値=厚さ(m)÷熱伝導率
私のノースフェイスのダウンジャケットの場合
厚さ2cmほどなので
0.02÷0.037=0.54くらいです。
また熱抵抗値は重ね着した場合、足していくことができます。
上記の例で行くと
綿シャツ 0.001÷0.062=0.016
綿ニット 0.002÷0.062=0.032
ウールセーター0.003÷0.037=0.08
綿ジャンパー 0.010÷0.062=0.16
これらを合計すると0.288となりちょうど倍と半分くらいの熱抵抗値であることが
分かります。
しかし・・・、実際にはこれだけの差ではないんです。
ノースフェイスのジャケットはダウンの内側、外側の両方に
ナイロンのような風を通さない層があります。これによって
羽毛の中の空気が動かないので本来の断熱性を発揮しやすくなっています。
さらに・・・
腰の部分、手首部分、首の部分もきっちりと気密が取れるように
なっており、前の開閉もボタンではなくファスナーです。気密性も
ばっちりなわけです。
これらのことを総合すると上記の2例の比較は数値的に3倍以上体感が
違うと思われます。
どおりでノースフェイスのダウンジャケットが快適なわけです。
大学時代に4万ちょっとはたいて買った超お古ですが、未だに冬の
寒い日は大活躍しています。
ちなみに外壁でよく使われる高性能グラスウール16kを100mm
充填したときの熱抵抗値は0.1÷0.038=2.63です。
住宅の外壁としては大したことないと思っていましたが、洋服と
比較してみるとものすごい熱抵抗値であることがわかりました。
やはり自分で計算して確かめてみるのは重要ですね。