11畳相当の電力で130畳相当の空間を涼しくできました!
今日は朝から宝塚の現場→千里の住宅訪問→大阪で講演→西宮で打ち合わせ
というこれまた過密スケジュールでした。
今日は千里でお伺いしたのは数カ月前にお引渡しした住宅の冷房の効き具合を
測定及び確認するためでした。初めて導入したMahatシステムという全館冷暖房
システム、しかも相当床面積が65坪(130畳)という巨大な住宅だったので
システム、規模の両面で今まであまり経験がない組合せということもあり確認が必要でした。
ちなみにこの住宅のQ値は1.0です。
結果からいうと、平均すると家全体が27℃、絶対湿度も13~14gとだいたい快適な
状態が保てています。部屋によって多少温度差があるのですが、きちんと日射遮蔽を考えた
設計にしてはいますが、それでも僅かな東面の窓の大きさの違いが差を生んでいることが
分かりました。温熱環境はどれだけ経験を積んでも奥が深いです。
さらにいうと、絶対湿度はもう1g減らせることができれば、さらに理想的だとは思いました。
ここ数ヶ月の電気代の用紙も見せていただき、そこから7月15日から8月15日までの
最も暑い1ヶ月の冷房に使った電気使用量を計算することができました。この住宅基本的に
24時間全館冷房しています。
しかし、結果は130畳相当の空間を11畳相当の電力(厳密には10.7畳)で
家全体をほぼ快適な温湿度に保っていることが分かりました。暖房に比べると冷房に必要な
エアコン容量の計算は非常に難しいのですが、今回の結果から逆算すると、断熱気密と日射
遮蔽がきちんとできている場合、エアコンのカタログの畳数表示の1/12の容量でもクリアできる
ということが分かりました。
暖房能力の場合、松尾設計室の一般的な仕様の場合畳数表示の1/6以下の容量でいけることが
多いのですが、今回の結果から判断するに、断熱気密と日射遮蔽がきちんとできていれば
暖房の方が冷房より余裕率が少ないことから(それでも6倍もある!!)
暖房をベースにエアコンの容量計算をしておけば、冷房期間も絶対に大丈夫であるということが
はっきりと分かりました。
こういうことは自立循環のテキストにも国の基準にも書いてありません。
自分でシミュレーションの元、設計を行い、温湿度、及び電気代の調査をした
人にしかできないことです。しかも今回の実例は日本で最も暑い大阪府内の住宅です。
これは非常に大きな収穫でした!!
ただし、これはC値1以下、グラスウールなら高性能16Kで180mm相当以上
南面は0.3H以上の庇、東西北面は遮熱Low-Eかつ小さな窓といった最低条件は
すべて満たした上での話です。これらを一つでも満たさない場合、冷房負荷は
かなり大幅に増えてしまいます。くれぐれも間違いなきよう対処願います。