「新しい火の創造」クリントン元大統領、孫さんの環境に関するバイブル
「新しい火の創造」クリントン元大統領、孫さんの環境に関するバイブル
今日紹介する本はもう1ヶ月以上前に買ったのに中身が濃い上に分厚いので
読むのに時間がかかってしまった本です。
しかし、「もし環境関連の本で一冊だけ読むとしたら何がいいですか?」
と聞かれたら迷わずこの本をオススメします。
私が今まで環境関連で読んだ本の中ではダントツNo1の内容であるといえます。
http://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E7%81%AB%E3%81%AE%E5%89%B5%E9%80%A0-%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BBB%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%93%E3%83%B3%E3%82%B9/dp/4478016976
帯にはビル・クリントンさんが
「これは思慮深く、詳細かつ幅広く記された計画書だ。地球環境への脅威たる
化石燃料への依存を断ち切り、来るべきエネルギー革命の巨大な経済ポテンシャルを
解き放つものである。」と書き
孫正義社長は
「先の見えないこの国のエネルギーの未来を案じ、ビジネスの持つ豊かな可能性を信じる
者ならば、これは必読の一冊である」
と紹介されています。
この本の著者はエイモリ・ロビンスさんという物理学者で
環境系の民間シンクタンクであるロッキーマウンテン研究所の所長さんでもあります。
タイム誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」の一人です。
もともとハーバードとオックスフォードで学び、11の大学から名誉博士号を
持っているという超人ぶりです。現在はアメリカ建築家協会の名誉会員でもあるそうです。
また、アメリカのエネルギー省、国防総省他各国の政府機関や世界中の大手企業のアドバイザーも
努められています。
私が講演の最後に紹介する格言はエイモリ・ロビンスさんの言葉です。
また、森みわさんが大好きな「ネガワット」(節電みたいな意味)という言葉も
この方が作った言葉です。
環境分野に関しては先日紹介した天才レイ・カーツワイルや、「銃・病原菌・鉄」
の著者であるジャレド・ダイアモンド博士といった人たちと同等の深さを感じさせてくれます。
持ち上げるのはこのくらいにしておきますが、
具体的には
・運輸
・建物
・工業
・電力
の4分野においてそれぞれ100ページ分くらい書かれています。
そのそれぞれが、膨大な調査、研究に基づくもので、しかもほとんどが
現在の技術で実現可能かつそれらを導入することで一般概念とは逆に
経済的になるというものばかりが紹介されています。(すなわち省エネ化を
すすめたほうが儲かるということ)
例えば「建物」のなかでは我らが「パッシブハウス」や「パッシブハウス研究所」
「ファイスト博士」もきちんと紹介されています。「パッシブハウス」という言葉が
初めて日本の書籍で紹介されたのは実は森さんの本ではありません。ファイスト博士が
90年台に出版された邦訳本が最初に日本に紹介されたというのが真実です。
私、及び当社の御施主様なら分かっていただけると思うのですが、ほんのすこしイニシャルと
余分にかけるだけでその家を使い続ける限り利益が続きます。これは住宅に限ったことではありません。
この本の特徴が他の環境本と大きく違うのは私のような当該分野のエンジニアですら舌をまくほど
詳細かつ斬新で圧倒的な効果が得られる手法が山のように紹介されていること。
そして、それがやったほうが経済的になるようなことばかりであること。
既得権益、政治力、慣例、エネルギー安全保障、燃料が原因による国際紛争
産業構造の変化による雇用情勢の変化、具体的な費用及びその回収年数に至るまで
すべて織り込まれているということです。
一体どうして一人の人間がここまでのことを考えられるのか?人間の脳みその底知れぬ
深さを感じずにはいられない一冊です。
孫さんが少し前にテレビ番組で「もうエネルギーの未来は分かっているんです。
あとはどうやるかだけなんです」といったような趣旨のことをおっしゃっていました。
孫さんがこのように言えるのはこの本を読んでいるからであるということがよく分かります。
この本は「運輸」「建物」「工業」「電力」に関わる方は全員必読の書であると思います。
しかし、それだけではなく、環境に興味のある大人、及び高校生、大学生くらいにも
ぜひ読んで欲しいと思います。
反原発運動に参加することも意義がありますが、それと同等かそれ以上にこの本を読み
自分に関連のある分野で一つでも実行する方が大きな意味があると思います。
とかく日本では「エネルギー源をなににするか」という議論ばかりが先行しますが、
物理学者の間では周知の事実ですが、建物でも車でも冷蔵庫でも低効率のものを
高校率のものに変えていくという我慢を伴わないエネルギーの節約の方が圧倒的に
費用対効果が高く、かつ早急に実現できることが分かっています。
LED電球がここ2年ほどでほとんどゼロから、どこの電気屋でも大量にならぶように
なったことを見てもらえればわかると思います。
ここで皆さんにお願いです。できれば、この本を購入し、ぜひ読んで下さい。そして
この記事をシェアし、少しでも多くの人に広めていただければと思います。