ファイナンシャルプランナーも知らない”住宅ファイナンシャルプラン必須6項目”②
きちんとした断熱性をもった住宅が普及しなければ
“冷暖房のために働く人生になる”かもしれない
欧米であれば、戸建て、集合住宅、新築、既存住宅を問わず、きちんとした断熱性能を持った住宅がそれなりに普及している。しかし、日本では新築ですら、上記の条件を満たしている住宅は非常に少ない。ましてや既存住宅となればゼロに等しい。
しかしながら、南向きマンションの中間階中部屋だけは、断熱性能は低くても、隣家に囲まれていることで、窓さえ強化してあげれば、日本では珍しく良好な室内温度環境を維持できるのである。しかも、南側には必ずといっていいほどバルコニーがあり、これが夏の日射も遮蔽してくれる。
だが、この点に関しても問題はある。
非常に寒冷かつ平均年収が比較的低めの世帯が多い北東北以北ほど、マンション自体が非常に少ないという点である。このエリアでは何とか頑張って上記の項目を満たす住宅を建てる、それが不可能ならばそもそも温暖地に移住するなどしなければ“暖房のために働く人生になる”と言っても過言ではないと考えている。
住宅の質を左右する重要な6項目
1)その土地の次世代省エネ基準の天井、壁、床の断熱基準+実質U値1.7以下のサッシ
2)C値が最低でも2以下、理想的には1以下
の他に残りの4項目も示しておきたい。
3)冬の日射取得(南面からの日射取得)
4)夏の日射遮蔽(南面の庇、東西北面の窓の極小化、Low-E化)
5)給湯器の選択(太陽熱温水器+エコジョーズorエコキュート)
6)エアコンで冷暖房(エアコンが効く家にする。エアコンだけで冷暖房、除湿が完結)
である。
家計が苦しい世帯が住む住宅であればあるほど、これらの6項目は全て満たすようにすべきである。それが出来なければ、イニシャルが安くなっても結局、月々の支払は多くなってしまうからだ。
例えば、「エアコンは嫌いだから輻射型の暖房器具を使いたい」という要望もよく聞く。しかしながら、エアコン以外の器具を選択するということは、エアコンしか選択肢がない冷房器具にプラスして他の暖房器具を設置するということで設備の二重投資となる。また暖房器具は何を選んでもエアコンより光熱費が高くなるということも注意が必要である(※薪ストーブに関してのみ、薪が無料もしくは格安で入手できるのであればこの限りではない)
なお、輻射型暖房の上質な心地よさは筆者も十分に理解している。しかしながら、これらは6項目全て満たした上の次の段階の話であり、これは一種の贅沢というか嗜好といってもいいと考えている。参考のため、下図に暖房器具別単価を示す。
最初に示した「C値が最低でも2以下、理想的には1以下」という項目はこの「エアコンが効く住宅」ということにも密接に絡んでくる。C値が悪い住宅では、空気で冷暖房するエアコンは極めて効きが悪い。またそれ以前にC値が2を切っている住宅では、大半の住宅で採用されている3種換気で清浄な空気質を維持することが不可能である。これは健康リスクにも関わってくる項目なので、その意味でも重ねて重要な事項である。
一般的な住宅では給湯エネルギーが一番多くのエネルギーを使う。これは設計者による一瞬の選択ではあるが、機器が壊れるまでの10年から15年間の光熱費に大きく関わってくる超重要事項である。
暖房器具別単価 2015年
次回・・・幸せに暮らすためのマイホームが負担にならないようにするために…