暖房の真価は1階、冷房の真価は2階で決まる
床下エアコン暖房が2010年ころから流行しています。最初にやりはじめたのは東は秋田の西方先生、西は私ではないかと思います。床下エアコンを採用するとトイレや脱衣室玄関に至るまで床が暖かくなるので快適性が大きくアップします。にもかかわらず、イニシャルコストはエアコン1台分と床の通気ガラリくらいなので床暖房のように大きくコストアップすることがありません。
最近はリビング階段、続き間、吹き抜けのように大空間が連続するプランが増えています。空気で暖房するエアコンの場合、どうしても軽い暖気は上に上がってしまいます。その結果、断熱気密が悪く、かつ暖房計画が下手な住宅の場合、過ごす時間もいる人の数も多い1階で寒さを感じることが多くなってしまいます。2階は多少寒かったとしても特に大人の場合は布団に入って寝るだけの人が大半です。その場合、多少室温が1階より低かった(20℃近辺)としても全く問題ないか人によってはそのほうが寝やすいことさえありえます。また中立温度という考え方があるのですが人間は足元は26℃、頭は22℃程度が何も温冷感を感じない中立的な温度ということで中立温度とされています。こういったことを総合的に考えた結果暖房の真価は1階で決まると考えています。
同様に冷房を考えてみます。冷房の場合1階LDKは普通に壁掛けエアコンがどこの家にでもあります。これをつけさえすれば、たいていの方が満足するレベルまでもっていくことは難しくありません。冷気は重いので上部から水平に吹き出した冷気はLDKの上部から広範囲に徐々に落ちていく感じで広がっていくからです。
しかし、2階は大きく異なります。たしかに、各居室にエアコンを設置すれば涼しくはなります。むしろ寒くなります。。。どんなに弱冷房にしても冷房嫌いの方にとっては耐えられないことが多くなります。また子ども部屋は人数分各部屋につけるのはなかなか費用的にも大変です。さらにいうと、そもそも高性能住宅においては6帖間でも2帖用エアコンというのがもしあったならその程度のエアコンで十分冷えるのです。にも関わらず各部屋にオーバースペックな6帖用しか選択肢として選べない現実があります。これは無駄なイニシャルコストがかかるのはもちろんのことランニングコストもちょうどよい容量のエアコンを選定した場合よりもかなり高くつきます。
大半の子育て世代のご夫婦は夜寝る時間が家にいる時間の大半を占めます。またその世代は常に時間に追われています。暑くても眠りにくいし、冷えすぎても眠りにくい。。良質な睡眠を確保できるかどうかは暑さも寒さも感じない良好な室内環境に大きく依存します。こういったことを総合的に考えると冷房の真価は2階で決まると考えるようになりました。
当社のように1台のエアコンを小屋裏に設置しそれを各部屋に分配すれば上記の問題はすべて解決します。しかし、そこには地味ではありますが技術と経験が必要となります。