著名建築家の世界に科学という文字は存在しないのか?
今日は大阪にてM邸の契約を行いました。高級住宅街にたつ大きな住宅です。
全館冷暖房を最初から入れますが、それを現実的な光熱費で回せるような計画と
擦る予定です。
つい最近、比較的若手の中では名前が通ってきている建築家の文章を読んで
腹が立つというか情けないというか、遅れているということを痛感させられたことが
あったのでそれについて書きたいと思います。
彼曰く「断熱性や気密性はデザインとは対局にあるものである」
「人間は暖かすぎる空間にいるとよくない」
的なことをデザイン論とおりまぜながら淡々と語っていました。
超高学歴かつ超有名事務所を出ている方でしたが、
彼に聞いてみたい。
「ではあなたは仕事中に冷暖房をしていないんですね」
と・・・。
最近の断熱性が高い住宅に住んだ方がありとあらゆる疾患に対して
2万人調査した結果、有益な効果があるという論文は読まれましたか?
読まれていないなら単なる勉強不足ですし、もしそれを読んだとしてそういうことを
おっしゃるのであれば、あなたにとって科学や統計とはどんなものなんですか?
これと同様のことを言おうと思えば構造についてもいえます。
デザインと構造はたいていの場合、相反します。
しかし、構造に関しては絶対に建築基準法に則って建てなければなりません。
相反するからデザインを優先する。構造であれば絶対にこれは通りません。
言ったら馬鹿かきちがいと言われるでしょう。
また、構造強度がないことを、構造計算をせずに感覚で「安全であると
私は考えている」と述べることは上述の「人間は暖かすぎる空間にいるとよくない」
と勝手に思い込みを述べることとなんら代わりはありません。
こういうと、構造は人の命に関わるが、熱環境はそうではないという答えが返ってくるでしょう。
では、また聞いてみたい。
日本では年間に1万4千人もの人が家の中が寒いことによって亡くなられているということを
ご存知なのかと・・・。
10年かけると14万人、20年だと28万人です。
阪神大震災と、東日本大震災の全死者の数を足しても全く足りませんし、
これらの死者の方も全てが建築の構造が原因であるわけではありません。
ここまでいうと、「じゃあ冷暖房で快適にすればいいじゃないか」
と言われるかもしれません。
じゃあ、日本のCO2削減分は無視するということですか?
自分の建物だけは特殊だといいたいのですか?
皆さんがそう言ったらどうなりますか?
原発が復帰しないまま、石油やガスが高騰もしくは入手困難になったらどうされますか?
EUでは著名であるかどうかにかかわらず、建築物の省エネ規制がかかっています。
車の世界ではポルシェ、フェラーリのような特別かつ生産台数も少ない車であっても
燃費規制から逃れることはできません。
その事実を知っていますか?
その上で自分はフェラーリよりも希少価値があり、特別な存在だというのですか?
ここで「ハイ」と言われたら私は言い返すことばがありません。
しかし、私のこの文章にいらっときた建築家、もしくは設計者がいたら、反論は受け付けます。
私の思い込みで間違っているところがあれば、それは正しておきたいですし・・・。
ただ、意匠系の建築家の8割くらいは同様の見解を持っているのではないかと
思います。
まずは、熱環境も構造と同様に命に関わる重要な項目であることを国が率先して認める
ことから始めないといけないのかもしれません。
リツイート、シェア等していただいて構いません。熱環境や省エネに興味のある方ばかりでなく
そういうことに全く興味のない建築関係者にこそ読んでいただければと思います。