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布団で寝るのが暖かくて気持ちいい理由を科学する

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「高断熱住宅はダウンジャケットを着てるみたいな感じですよ」

とか

「分厚い布団を想像してみてください。暖かいでしょ」

みたいなセリフを高断熱住宅を作っている実務者は言ったことがあるかもしれません。かくいう私もそのようなセリフを何度も言ってきました。

言われてみれば当たり前のことですが、自分でもきちんと科学的に考え切れていないところがあると思っていました。

そこで極力わかりやすく解説してみたいと思います。

まず冬の寝室の室温を仮に15℃としましょう(暖かい住宅と寒い住宅の中間の感じです)

パジャマで寝る方が大半だと思います。パジャマの表面は人にもよりますが、32~33℃になっていることが大半です。室温15℃の中でこれだけの表面温度があるからサーモグラフィーで撮影すると赤や黄色に輝いて見えるわけです。人間を含む動物(特に恒温動物)は食料を筋力や能力だけでなく熱として発散することにも変換しています。このあたりは様々な機械や電化製品と同じです。本来の目的以外にも熱としてエネルギーを捨ててしまっている。しかもその比率が結構あるということです。自動車なんかは最高効率のエンジンでも6割を熱として捨ててしまっているくらいです。。

室温が15℃だと布団の外側表面、内側表面とも最初は15℃になっています。だから布団に入った瞬間は冷たく感じます。そこから時間が経つと徐々に布団の内側表面の温度は体温に近くなっていきます。布団の断熱性能が高ければ高いほど早いスピードで体温に近づいていきます。断熱性が高いとこの布団の内部を熱が移動するのはかなり遅く、少なくなります。その結果布団の外側表面から空間に放出される熱自体も遅く、少なくなります。

逆にタオルケットのように断熱が弱いと内側表面は体温に近づいてもかなり早いスピードかつ結構な量の熱がタオルケットの内部を通り抜けタオルケットの外側表面からも室内空間に向かって早く多く熱が放出され続けます。

体が発生する熱量と空間に奪われていく熱量、スピードの均衡が取れている場合快適と感じます。奪われるスピードのほうが早いと寒いと感じ、遅いと暑いと感じます。

分厚い布団をかぶっている場合、体の周囲全体が32℃くらいで包まれるわけですから、放射(輻射)環境は完璧に近いものがあります。ここで放射を説明しておく必要があります。放射とは電磁波の形で熱が移動する現象を指します。温度差がある2つ以上の物体が存在する場合、必ず高い方から低い方に向かって熱は移動します。太陽と地球が真空という超高性能断熱材を1億5000万キロも挟んで置きながらも熱が伝わってくるのは電磁波で伝わるからこそです。

温冷感を予測する指標としてよく使われるものにPMVがあります。PMVでは気温と平均放射温度のほか着衣量、代謝量、気流速度、湿度の6項目で温冷感が決まります。布団に入っている場合、基本的にはこの気流速が限りなくゼロに近づきます。熱の移動手段は「伝導」「対流」「放射」のみっつしかありませんが、気流速がゼロになると対流による熱伝導もゼロになります。実際には僅かな隙間がありますから気流速はゼロではないと思います。それでもその部分の空気の温度は限りなく体温に近い温度なので結局対流による熱移動の影響はほとんどないことになります。

分厚い布団をかぶれば冬暖かいというところまでは誰も反論がないところです。でも素直な人であれば、「でもそのままだと夏は暑いのでは?」と質問するはずです。

これにどう答えるのか?それが今日のポイントです。

先の厚手布団と薄手布団を夏で考えてみます。厚手布団だと室温が27℃とかだと熱が奪われるスピードがおそすぎて暑いと感じます。下手をすると薄手のタオルケットでもまだ遅い(暑い)と感じることもあります。この場合いずれも対流による熱の移動(奪われるはありません)

この布団と自分の隙間をどんどん広げていくと住宅の壁や屋根の断熱材に変化する。。。そのように考えてみてください。自分の周囲には空気しかありません。かなりの厚さの空気がありある程度動いています。冷房の具合にもよりますが、体表面の32℃よりは低いことが大半なので対流によってそれなりの熱が空気中に奪われていきます。

では外壁や屋根に向かって奪われる熱はどうなるのか?

それは外壁や屋根の内側表面温度によって大きく異なります。夏は冬とは異なり冷房している場合、内よりも外の方が暑くなります。熱は必ず高い方から低い方に移動します。また内外温度差が2倍になれば移動する熱量も2倍になるという比例関係にあります。要するに外部表面が暑いほど、内部に冷房を効かせているほど壁や屋根を通り抜けてくる熱量は増えることになります。

放射の説明を先にしました。外壁や天井の内側表面温度がかろうじてパジャマの表面温度より高いか低いか?これが夏の死活問題となります。もし低ければ少量ではありますが、人体から壁や屋根に向かって熱を抜いていくことができます。しかし、高い場合、そうでなくても熱を抜きたいのに壁や屋根から熱を体に受けることになります。

まず断熱性による差ですが外部表面温度が同じ場合、断熱性能が良いと内側表面温度は断熱が悪いときより低くなります。逆もまたしかりです。また断熱性能が同じ場合、外壁の色が濃い場合、外壁表面温度が高くなるので結果として内側表面温度は高くなります。

このように夏に関しては断熱性能が良いほうが内側表面温度は下がります。エアコンで空気温度が同じ状況であれば温冷感は壁や屋根、窓の表面の平均温度が低いほど涼しく感じます。

また、夏は高断熱化しすぎないほうがいいという方もおられますが、日射遮蔽がきちんとできている住宅で冷房している場合はそんなことはありません。冷房時で室温が外気温より低い場合、必ず熱は外から内に向かって入ってこようとします。その場合、断熱が多いほうが入ってくる熱量、スピードともに小さくなるのは当たり前の話です。このようなことを言う方があっている場合というのは次のような場合です。

冷房もつけておらず、日射遮蔽ができておらず室温が外壁の表面温度を超えてしまった場合。。。この場合、中から外に熱は移動しようとします。その場合に関してのみは断熱が弱いほうがいいと言えます。しかし今の日本の夏においてそのようなことが考えられるかどうかは素人でも分かると思います。

ということで、布団から考える熱環境工学でした。。

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