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原発の専門家が進める公正な本2冊

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私の昔からの友人で原子力の専門家がいます。
彼と話をしている中で彼の目から見ても公正で読んでおくと
いいと薦められた本を2冊紹介したいと思います。
ひとつは
橘川武郎さんの「電力改革」
もうひとつは
池上彰さんの「高校生からわかる原子力」
です。
原発に関しては推進派、と反対派で全くといっていいほど
書いてあることが違います。しかしながら、「餅は餅屋」という言葉からも
専門家のほうが詳しいであろうことは疑う余地はありません。
私は「自分の考え方に近い情報」
よりも
「より真実に近い情報」が欲しいというのが本音です。
そのためには原子力側の人間が薦める本を読むことは必須であると思っています。
実際、この2冊を読み終えたのは1ヶ月ほど前ですが、
池上さんの本は
原子力というものがアインシュタインによって発見されたところから
原子爆弾による核の抑止力、国際政治を経て、原発利用に至った経緯。
核廃棄物問題に至るまで本当に公正かつ詳しくわかりやすく書かれています。
非常に公正な内容ではありますが、原爆を使った国際政治のやりとりがあまりにも
ドス黒く、原子力の兵器利用がいかにおぞましいものか改めて痛感させられます。
書かれてある内容からすると池上さんは明らかに原発反対であると思いますが、
最後には「私は安易に自分の意見をいうのは控えておきます。考えて判断スべきは
あなただからです。」と締めくくられています。
プロのアナウンサーというのは、自分の意見を述べるのではなく、ただ単に
事実をありのままに公正に伝えることだというのを聞いたことがあります。
彼はそれを地でいっているような感を受けます。お見事です。
もう一冊の「電力改革」
は1800年台後半からの日本の電力会社の歴史的推移が実に克明にわかる
内容となっています。またこれまでの電気料金の推移、燃料費率等、詳細な
データも古いものから新しいものまで幅広く網羅されています。
これまた、日本の電力業界を理解するのに最適な内容となっています。
この2冊を読んでいて思うのは、原発を推進する側の人たちは
戦争になったときの自国の防衛。
そして、資源に恵まれない我が国においてのエネルギー安全保証、
及び経済発展に最も重きを置いているのであろうということです。
大きなところでは「私利私欲」や「悪」といった単純なところでは
なく、純粋に国や国民のことを思って進んできたんであろうと思われます。
(小さいところは分かりませんが)
これらを最重要視する観点からすると、「かなり確率は低いが起こりうる
かもしれない極大なリスク」に関しては「許容せざるをえない」という
観点になるのでしょう。
これが根底にある限り、原発反対派の人と意見が合うことはなかなか難しい
であろうと思われます。
ただ、この対立を乗り越えつつあるのが、ドイツやスウェーデンといったGDPだけでは
図れない超先進国であるドイツやスウェーデンにあると思います。
無駄は、極限まで削減していく。自国でエネルギーを作る。自国に雇用をもたらし
国内にお金も残す。
これらが、実現できれば、エネルギー安全保障と経済発展に関しては合意点が見いだせるような
気がします。
ただ・・・・。
最後の暗闇は原発がいざというときの核抑止力につながるというために存在している
可能性だけはどうしようもありませんが・・・

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