やっぱりドレーキップ窓は凄い!!
やっぱりドレーキップ窓は凄い!!
先日某サッシメーカーのエンジニアと話をしていてドレーキップ窓の話になりました。
建築実務者でもドレーキップ窓というのを知らない人がいるかと思います。
メーカーによっては年間何十万窓も出荷していながら、数千窓しか出ないメーカーもあるくらい日本ではマニアックな開閉形式の窓です。
この窓は通風が必要なときには、上部が内側に倒れてくるいわゆる「内倒し」として機能し
掃除するときなんかは内開きできるというものです。
日本ではマニアックですが、ドイツ以北のヨーロッパ諸国では極めて一般的・・・といいますか
窓といえばドレーキップしかない・・・というくらいドレーキップ窓ばかりです。しかも大きさも強烈で、幅1mの高さ2.5mみたいな巨大なドレーキップ窓すら存在します。
窓の開き勝手はその国の癖がかなりあるように思います。
ドイツから見れば隣のフランスに行けばにほん同様引き戸形式が結構見られます。
アメリカに行くと日本の窓の開閉形式とほぼ同じバリエーションがあるといえます。
日本の窓業界は数十年前からアメリカを真似てきたというのが実態なのかと思います。
で、ドレーキップの何が凄いのかというと、いろいろあります。日本のドレーキップ窓はかなり高価です。四周ぐるりとまわる金物が非常に高価だからです。
しかしながら、この四周ぐるりとまわる金物が気密性能に対してものすごく効いてくるのです。
一般的に引き違い窓よりも縦すべり出し窓のような開き系の窓の方が気密性が高いのは
すぐにわかると思います。ドレーキップ窓も開き系に属するのですが、開き系の窓もよく
見てみると一点か二点くらいのポイントで圧力を効かせて閉めていることがわかります。
ところがドレーキップ窓は四周金物が回っているので最低でも4点以上のポイントで
圧力を効かせて閉める構造となっています。これが気密に効いてくるということになります。
完全に定量的な話ではありませんが、感覚的にいうと
同じ開閉部分長さあたりの気密性能は
ドレーキップ窓1
開き系窓1/2
引き系窓1/3
というのが妥当なようです。
これを逆数をとって隙間の量になおしてみると
ドレーキップ窓1
開き系窓2
引き系窓3
というふうに見ることもできます。
私の場合、東西北の3面は大きい窓を使わないので
ほぼ開き系の窓を使います。しかし、南面の大窓に関しては
今でも引違いを使うことが多いです。
このやり方でC値(相当隙間面積)が0.5くらいまでは可能です。
ただ、そこから上を狙うのであれば、南面の引き違い窓がかなり
効いてきます。
ただ、ドレーキップにも難点があります。
価格が高い。
ガラス面積が極めて小さい。
メーカーの商品構成にないことが多い
ということで、現状では松尾設計室でもほとんど使っていません。
ただ、今後価格とガラス面積の問題が解決されれば、東西北面で使うことは増えていくと思います。
南面掃出窓で有力なのは、まずは片引き戸です。それからFIX+外開き戸のパターンです。
こうなると同じ面積でもまず開口の線の長さがかなり短くなります。さらにその上に圧力が
効くようになります。この差はなかなか大きいです。
ということで、久々にかなりマニアックなお話でした・・・