住宅は木造・軸組工法がコスパ最強?鉄骨・RCとの違いを解説
この記事のポイント
- 戸建ての約88%が木造、そのうち約87%が軸組(在来)工法。圧倒的多数派には理由がある。
- 許容応力度計算で耐震等級3を確保すれば、「鉄骨だから強い・木造だから弱い」は気にしなくてよい。
- 鉄はグラスウールの数百倍、アルミは6,237倍も熱を通す。鉄骨・RCは熱的に不利。
- 木造最大のメリットは、安くて高断熱な住宅用の窓が使えること。
- 生涯コスパで戸建てを鉄骨造・RC造で建てるのは不可能。ただしRCマンションの中間階・中部屋は別。
戸建ての構造にはどんな種類があるのか?
戸建ての主な構造とは、木造・鉄骨造(S造)・鉄筋コンクリート造(RC造)の3種類のことです。柱は縦、梁は横の部材を指します。
日本の戸建ての約88%は木造です。残り12%は軽量鉄骨や、重量鉄骨の住宅メーカーが占めます。工務店の住宅はほぼ木造と考えてよいでしょう。
木造はさらに、在来工法(軸組工法)とツーバイフォーに分かれます。木造住宅の約87%は軸組工法です。SE構法なども、大きくは軸組工法の延長線上にあります。
鉄骨は木造より本当に強いのか?
結論として、許容応力度計算による耐震等級3を確保すれば、構造種別による強弱を気にする必要はありません。ここを押さえないと、行く先々の営業トークに振り回されます。
鉄骨の会社へ行けば鉄骨が良いと言われ、木造の会社へ行けば木造が良いと言われます。判断軸を「耐震等級3を本式の構造計算で取っているか」に固定すれば惑わされません。
ただし注意点があります。許容応力度計算による耐震等級3を確保していない工務店の木造と、鉄骨を比べれば、鉄骨のほうが強いのはほぼ間違いありません。鉄骨は必ず構造計算をするからです。
木造住宅は数が多いため、簡易な壁量計算で済ませる逃げ道が許されています。これに甘えていい加減な構造を建てる実務者がいる点が、木造の構造的な弱点です。
構造の価格はどれだけ違うのか?
構造単体の価格とは、設備や仕上げを除いた骨組みだけの値段のことです。比較すると、木造が圧倒的に安くなります。
鉄骨造(S造)は木造より坪単価が10万円以上高くなります。RC造になると、ビルを建てるゼネコンに聞いても坪120万円程度かかるという回答が多くなります。
昭和50年代にはRC造の豪邸も多くありました。しかし現在、3,000万〜4,000万円台の住宅でRC造を見かけることは、ほぼなくなりました。
なお、木造を主に手掛けるのが工務店、ビルを手掛けるのがゼネコンです。ゼネコンは木造住宅を苦手とし、工務店はビル設計ができないことが多い点も知っておくとよいでしょう。
なぜ鉄骨・RCは断熱で不利なのか?
鉄・コンクリート・アルミは、木よりも桁違いに熱を通すからです。同じ厚さでの熱の伝わりやすさ(熱伝導率)が、断熱性能を決めます。
基準となる高性能グラスウール16Kの熱伝導率は0.038で、これを1倍とします。最高クラスのネオマフォームやフェノバボードは0.020で、半分の厚さで同じ性能が出ます。
一方、鉄は木の約400倍も熱を通します。アルミに至っては、建材の中で4番目に熱を通しやすく、グラスウールの6,237倍にもなります。最も断熱が重要な窓にアルミを使うことが、いかに不利かが分かります。
樹脂サッシはアルミより熱を通しにくく、実際にアルミと樹脂では熱の通しやすさが約1,200倍も違います。また、軽量気泡コンクリート(ALC)は熱伝導率0.15で、断熱材の定義(0.05未満)からすると性能は3分の1しかありません。
RC造は外断熱にしない限り、結露しやすい構造です。冬は室内側の水蒸気圧が高く、水蒸気が外へ移動して、冷えたコンクリート表面で結露します。ヨーロッパやアメリカでは、RC造の外断熱を義務付ける国が多くあります。
木造と鉄骨・RCで耐久性のリスクはどう違うのか?
木造の心配は構造躯体の腐れとシロアリ、鉄骨・RCの心配は結露とカビです。問題の種類そのものが違うことを理解しておく必要があります。
木造の構造躯体をダメにするのは、腐朽菌による腐朽とシロアリの食害です。カビは人体には悪さをしますが、構造そのものを腐らせるわけではありません。なお、腐敗・腐朽は人間に有害な微生物の働き、発酵は有益な働きを指します。
鉄骨・RCは結露・カビのリスクが木造より高い構造です。ただし、鉄やコンクリートが腐朽菌で腐ることはありません。冬に触っても木は鉄やコンクリートほど冷たくないため、木造は結露リスクが低く、必ずしも外張断熱にしなくてよいのです。
雨漏り対策は、10年間の保証責任があるため工務店も緊張感を持って対応します。問題は内部結露対策です。内部結露対策とは、結露計算で安全を確認することを指します。
ところが「セルロースファイバーだから」「外断熱だから」「この面材だから結露しない」と説明する会社が9割を超えます。結露計算ができる実務者は1,000人に1人いるかどうかで、ほとんどの会社が計算せずに壁の構成を決めているのが実態です。
なぜツーバイフォーより軸組工法なのか?
これは性能の話ではなく、間取りの自由度・職人の数・増改築のしやすさの話です。軸組工法は、これら3点で有利になります。
ツーバイフォーやパネル工法は、壁が構造を支える単位です。大きなLDKを柱なしで取りたい場合、壁を入れざるを得ません。一方、軸組工法は柱1本で支えるため、邪魔にならない位置に柱を1本置けば大空間を実現できます。
職人と工場の数も違います。ほとんどの職人が在来工法の専門で、ツーバイフォーを扱える職人は在来の10分の1以下です。職人不足が進むなか、主流でない工法を選ぶのはリスクが高いと言えます。
日本の在来木造のプレカット技術は、精度・仕組み・価格のどれをとっても世界最高水準で、まさに日本の宝です。増改築のしやすさも軸組工法の大きな特徴で、長く使ううえで重要になります。
よくある質問
- 木造と鉄骨はどちらが地震に強いですか?
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許容応力度計算による耐震等級3を確保していれば、構造種別による強弱を気にする必要はありません。ただし、本式の構造計算をしていない工務店の木造と鉄骨を比べれば、必ず構造計算をする鉄骨のほうが強くなります。
- 木造はなぜRC造・鉄骨造よりコスパが良いのですか?
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構造単体の価格が圧倒的に安く、断熱で有利で、安価な住宅用の高断熱窓が使えるからです。鉄骨造は木造より坪10万円以上、RC造は坪120万円程度かかり、生涯コストでも木造が優れます。
- RC造のマンションは木造戸建てよりコスパが悪いですか?
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いいえ、RCマンションの中間階・中部屋は木造戸建てより確実にコスパが優れます。上下左右の住戸が断熱材代わりになるためです。戸建てが難しい予算なら、中古マンションの内窓断熱リフォームも有力な選択肢です。
- 木造でも外張断熱は必要ですか?
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木造は必ずしも外張断熱にする必要はありません。木は鉄やコンクリートほど冷たくならず、結露リスクが低いためです。ただし鉄骨・RCのように冬冷たくなる構造では、外断熱が必須になります。
- ツーバイフォーと軸組工法はどちらを選ぶべきですか?
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間取りの自由度・職人の数・増改築のしやすさで軸組工法が有利です。軸組は柱1本で大空間を実現でき、在来専門の職人が多く、将来の増改築にも対応しやすいためです。