太陽光発電で失敗しない7つの前提?設置前の必須チェック
この記事のポイント
- 太陽光の荷重を構造計算に必ず乗せる。木造2階建ては9割以上が本式の構造計算をしていない。
- 屋根はガルバリウム鋼板など軽い屋根が無難。後付けは「軽い屋根+耐震等級3」が条件。
- 屋根が飛ぶ主因は釘や下地合板の腐れ。風速70mは時速252kmに相当する。
- 設置面は南東〜南西の間。北面は発電量が66%まで落ちる。
- 屋根一体型は下地合板との間に不燃材を必ず挟む。挟まないと約0.1%で火災が起きた。
なぜ太陽光の荷重を構造計算に乗せる必要があるのか?
太陽光の荷重を乗せた構造計算とは、パネルの重さを前提に耐震性を確かめる計算のことです。これを怠ると、想定より弱い家にパネルを載せることになります。
木造2階建ての場合、工務店の9割以上が本式の構造計算をしていません。3階建てで義務付けられる許容応力度計算による耐震等級3が、震度7に耐えるベースになります。
この計算をしていても、太陽光を載せる荷重を計算者に伝えていなければ、荷重は計上されていません。さらに積雪1mの地域では、耐震等級3だけでも壁だらけになり、積雪と太陽光を両方こなすとオープンな間取りはほぼ不可能になります。
どんな屋根なら太陽光を安全に載せられるのか?
最も無難なのは、ガルバリウム鋼板の軽い屋根です。瓦は重く、太陽光と合わせると数百キロの荷重になります。
ガルバリウム鋼板の立ハゼ葺きや瓦棒葺きは、雨漏りリスクも少ない工法です。後付けする場合は「軽い屋根かつ耐震等級3」が条件で、この条件を満たせば後から計算し直しても大丈夫なことが多くなります。
設置方法も重要です。新築では先付け金物、ガルバリウム鋼板の屋根ではキャッチ工法が適しています。キャッチ工法とは、屋根の板金部分をつかんで固定する、貫通のない設置方法のことです。
後付けで仕上げから下地まで貫通させ、コーキングで止める方法は雨漏りリスクが高くなります。貫通のない設置を選ぶことが、防水の基本です。
屋根はなぜ飛ぶのか?下地の劣化対策とは
屋根が飛ぶ主因は、屋根材自体の劣化ではなく、釘や下地合板の腐れです。風で抜けないよう支えているのは、差し込まれた釘だからです。
風速50mは時速180km、風速70mは時速252kmに相当します。風速70mは、アトラクションで人が浮くほどの風です。近年はこのクラスの台風が全国を襲うようになりました。
ところが日本の住宅は、10年以上経つと下地合板が腐っていることが多くあります。屋根職人103人への調査では、葺き替え時に下地の劣化を経験した人がほぼ100%でした。葺き替え時に下地を直すと工程が組めず、表面の仕上げだけ替えるのが業界の常識になっています。
そのため、屋根の止め付けは標準より多めにし、下地合板を腐らせない対策が必要です。ヨーロッパでは90年代から透湿系ルーフィングが使われ、内部結露を逃がしています。発信者は、透湿ルーフィングとガルバリウム鋼板の通気工法を板金メーカーと共同開発しています。
太陽光はどの方角に設置すべきか?
設置面は南東から南西の間が原則です。方角によって発電量が大きく変わるためです。
南面の発電量を100%とすると、南西はほとんど落ちず約4%減にとどまります。一方、東面・西面は85%、北面は66%まで落ちます。
「太陽光は売りさえすればいい」という会社は、北面にも平気で載せます。これは絶対にやってはいけません。また、影も発電量を大きく下げます。シリコン系パネルは一部に影がかかるだけで全体の発電量が落ちるため、高層ビルの影や、屋根形状で自分の屋根に影が落ちる設計は避けるべきです。
災害補償システムの確認も忘れてはいけません。最悪を想定し、補償がきちんと付いているメーカーを選ぶと安心です。
屋根一体型で火災を防ぐには何が必要か?
屋根一体型の場合、下地合板との間に不燃材を必ず挟むことが火災防止の条件です。これを守れば火災リスクをほぼゼロにできます。
日本の住宅用太陽光は累計300万件以上あります。このうちパネルが発火して屋根に燃え移った事例は約120例で、そのすべてが屋根一体型でした。
屋根一体型で不燃材を挟んでいない住宅は、約0.1%の確率で火災が起きた計算になります。一方、不燃材を挟んだ場合は1件もありませんでした。一体型は屋根がきれいに納まりますが、不燃材を挟むことだけは絶対に守る必要があります。
よくある質問
- 太陽光発電を設置するとき構造計算は必要ですか?
-
太陽光の荷重を乗せた構造計算が必要です。木造2階建ては9割以上が本式の構造計算をしておらず、許容応力度計算による耐震等級3を取り、さらに太陽光の荷重を計算者に伝えることが安全の前提になります。
- 太陽光発電を後付けしても大丈夫ですか?
-
軽い屋根かつ耐震等級3の家なら、後付けでも大丈夫なことが多くあります。逆に、構造計算をしていない弱い建物に多く載せるのは避けるべきです。設置はキャッチ工法など貫通のない方法が安全です。
- 太陽光発電はどの方角に設置すべきですか?
-
南東から南西の間が原則です。南面を100%とすると南西は約4%減、東面・西面は85%、北面は66%まで発電量が落ちます。北面への設置は避けてください。
- なぜ太陽光を載せた屋根が台風で飛ぶのですか?
-
屋根が飛ぶ主因は釘や下地合板の腐れです。日本の住宅は10年以上で下地合板が腐っていることが多く、風速70m(時速252km)クラスの台風で抜けやすくなります。止め付けを多めにし、下地を腐らせない対策が必要です。
- 屋根一体型の太陽光は火災が心配ですが対策はありますか?
-
下地合板との間に不燃材を挟むことが対策です。屋根に燃え移った約120例はすべて屋根一体型で、不燃材を挟まない住宅は約0.1%で火災が起きました。不燃材を挟めば事例はゼロでした。