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世間が騒ぐほど燃料電池自動車の効率は良くないかもしれません。

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世間が騒ぐほど燃料電池自動車の効率は良くないかもしれません。
私が大好きな車雑誌に
モータファンイラストレーテッドというのがあります。
自動車のメカニズムを綺麗な図解で紹介してくれるという極めて
マニアックな雑誌です。
http://motorfan-i.com/
しかし、「なぜそうなるのか?」というものづくりの真髄が随所に書かれており
車好きかつ、ものを作る人間としてはたまらない雑誌のひとつです。
その中で元マツダのエンジン技術者の畑村博士という方の記事に面白い
一文を見つけました。
「当面、EV(電気自動車)は原発がなければ成り立たん。FCV(燃料電池自動車)は、燃料となる水素を天然ガスから取り出す効率が70%、燃料電池の効率が50%でトータル35%。それなら天然ガスをそのまま使ったほうがええ」
というのも畑村博士は全く新しい方式のエンジンである
ピナクルエンジンというものをかなり推奨しており、今最も優れたエンジンよりもはるかに
効率を上げる可能性を秘めているらしいのです。しかもそのエンジンの燃料をガソリンよりも
軽油よりもCO2排出量が少ない天然ガスとすればCO2排出量もかなり減らせるとのこと。
でそのピナクルエンジンというのがこちら
http://blog.livedoor.jp/motersound/archives/51614682.html
ぱっと見、逆水平対向エンジンに見えます。
また、吸排気バルブやカムシャフトが設置できないことから、スリーブバルブという
吸排気システムを採用しているそうです。
http://techon.nikkeibp.co.jp/rcolumn/DM_COLUMN_LEAF/20060221/113485/
このエンジン、ボアに対してストロークを異常に長くできることが可能で
それが高効率化にとって非常に重要なんだそうです。今までのエンジン型式で
これをやろうとすると、クランクシャフトが異常に長くなってエンジンが大きくなりすぎる
欠点がありました。この方式なら非常にコンパクトでありながらロングストロークを実現
できるということです。しかも技術的にはロータリーエンジンよりはかなり簡単ということ。
博士はこれにハイブリッドを組み合わせたものが現在最高の効率を誇ると言っているのです。
ここで、他の方が書かれている資料にも目を向けてみました。
まず、経産省が主導しているJHFC(水素・燃料電池実証プロジェクト)の資料です。
世間が騒ぐほど燃料電池自動車の効率は良くないかもしれません。
出典:http://altairposeidon.hatenablog.com/entry/2015/01/26/000000
この表から読み取れることはトヨタは効率が良い方から順に
燃料電池>天然ガスハイブリッド>電気自動車
と考えているということ
そしてJHFCは
電気自動車>天然ガスハイブリッド>燃料電池自動車
と順位付けが真逆になっていることが読み取れます。
素人の私にはどちらが正しいのか想像もつきません。
またJHFCの資料で下記のようなものもありました。
世間が騒ぐほど燃料電池自動車の効率は良くないかもしれません。
※プラグインハイブリッド車はプラグイン走行時は0.5くらいになります。
この図も燃料電池が不利に見える結果です。
ただ下記のJHFCの内容を読んで確信を持ったことがあります。
http://www.jari.or.jp/portals/0/jhfc/data/seminor/fy2010/pdf/day1_J_20.pdf
現在のように、ガスから分離する形で水素を供給していると燃料電池自動車はそれほど
驚異的に効率が良いわけではない。しかしながら将来的に太陽光や風力発電由来の
電気分解によってできた水素、もしくはCO2を回収してできたメタンから分離する方法で
できた水素による燃料電池は圧倒的に最高効率であると・・・。
しかしながら、これはかなり遠い世界であると言えるでしょう。
私の推測ですが、畑村博士がおっしゃっているのは天然ガスハイブリッドの燃料の効率が
84%、車の効率がピナクルエンジンを実用化して50%まで行けば総合効率は42%となり
トヨタの計算している燃料電池の34%をも大幅に上回る、しかもコストも圧倒的に安く
できるということなんだと思います。
今から15年程度のスパンで見たらおそらくこちらを優先したほうが得策なんでしょう。
ただ、トヨタというGDPの約4%を握っている会社とその傘下の企業の多くが
世界で生きていくために・・・日本にしては珍しい超長期の戦略ということで
燃料電池がこれだけ騒がれているのだと思います。
博士が「ロータリーより簡単だ」というのであれば
既に40年近く前からロータリーは実現できているわけですから
実現は十分に可能だと思われます。
ただ、このエンジンの特許はアメリカのピナクルエンジン社という会社が所有しています。
既に三井物産グローバル投資のポートフォリオに入っている事を見ても
この会社の将来性を感じます。
https://www.mitsui-global.com/portfolio/pinnacle.html
参考までにマツダは天然ガスベースのアクセラをモーターショーで発表しています。
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20131022_620390.html
資金力が少なくチャレンジ精神旺盛なマツダにこそこういうことをやってほしいと願います。
しかし普通の雑誌やインターネットを見ていてもこのレベルの
ワクワク感を感じさせてくれるものはほとんどありません。
これからも興味深く見守って行きたいと思います。

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