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2016年10月18日村上敦さん大阪講演まとめ

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2016年10月18日村上敦さん大阪講演まとめ
松尾和也·2016年10月19日(水)
ドイツ人の14歳から22歳の80%は再生可能エネルギーと省エネを希望している。またそのための教育も充実している
太陽光発電、風力発電の35%は市民所有、11%が農家所有、14%が地域の所有で 合計6割が地域関係者の所有となっている。その結果、やたら景観を壊すような設置方法が行われることはまずない。また自分たちの利益の根源なのでクレームがでることも少ない。 日本ではほとんどが東京の大資本の出資となってしまっている。
※日本ではCO2削減のためだけに自然エネルギーがEUで伸びていると考える人が大半ですが、それだけではありません。むしろそれよりも大きな理由が、自分の地域内でお金と人が回せるようになるからという理由の方が大きいのです。例えばですが、火力発電が10円/kWh,陸上風力が15円/kWhとした場合(適当な想定)、日本ではメディアも経済評論家も「そんな高いものを使っていたら国も企業も滅びてしまう」という論調になりがちです。しかしながら、実際には火力の約半分の5円は海外に逃げてしまっています。残りの5円も大手電力会社に回るだけです。地元には一円のお金も残りません。ところが地域所有の風力発電の場合、お金と雇用の両方が地元にもたらされます。海外出ていくお金はありませんので、貿易赤字にもならず、エネルギー安全保障の面でも完璧です。こういった様々なメリットがあるからこそ、各国が必死になって取り組んでいるわけです。
省エネの3本柱は以下のとおり
1.電源の再エネ化
2.2030年までに8割の自動車をEV化
3.建築物全体の高断熱化
以上は毎年毎年すこしずつ確実に増やしていくことが出来る項目。毎年2.1%ずつ改善していけば、複利の効果で2050年までには目標が達成できる。また現実にそのペースできちんと動いている。
日本とは完全に異なり、太陽光発電と風力発電が一番ベースとなる電源として考えられている。次にその時点で必要電力を求める(予測する)ここで 必要電力量―再生可能エネルギーによる発電量=残余需要と呼ばれている。 この「残余需要」をまずはバイオマスで補う。そしてそれでも足りないものを火力で補うという順序になっている。
年に数日は風が強くて残余需要がマイナスになる瞬間が出てくる。そのときは電気代がマイナスになることもある。これは電気を使えばお金がもらえるという意味である。蓄電池を設置するよりもそちらのほうが安く上がる場合は、経済的合理性があると考える。 逆に年に数日は残余需要が極めて多い日(火力を大量に必要とする日)も存在する。日本だとこういったピークにあわせて、蓄電池や火力発電所の容量を検討してしまう。そうすることで過剰設備となり、非常に多くのコストがかかってしまう。ドイツではこういう数日は節電してもらうということでピークカットを促す方がはるかに経済的であると考えている。
太陽光と風力発電が今よりもずっと増えてくると、ピーク時の発電量は需要量をはるかに超える量となってくる。それを無駄なく利用するためにもヒートポンプと電気自動車の促進は欠かせない。
太陽光発電と風力発電の逆相関は非常にバランスが良い。太陽が照っているときは一般的に風が弱く、その逆もまたしかりということ。相互補完関係にあるといえる。 (昨日は言ってませんでしたが、風力6割から7割、太陽光3割から4割というくらいのバランスが特にバランスが良いみたいです)
日本のように再生可能エネルギーの比率が30%未満の段階は普及させることが優先なのでFIT(固定価格買取制度)が適している。しかしながら、25%を超えてくるあたりからはこの制度は適切な制度ではなくなってくる。そこでドイツではFIP(フィードインプレミアム)という制度に移行している。この制度は固定価格で買い取るのではありません。変動しやすい再生可能エネルギーによる電気をスポット市場で値決めします。こうすれば、発電量が多いときは安くなり、少ないときは高くなります。そうして変動する価格の平均値に対してプレミアム(差額)を支払うというのがFIPになります。  非常に難しい概念ですが、この制度ですと蓄電池を使って、安い時間帯に購入し、高い時間帯に売ることで儲けるみたいなことをする人が出てきます。こういった市場の行為によって需給調整機能が期待されるという効果があります。
電力、交通、熱の3分野においてIoTの技術を駆使して全体最適化を図ることをセクターカップリングといいます。ドイツではここ最近、学者の間でこのセクターカップリングが非常に大きく取り上げているとのことです。
DSM(デマンドサイトマネジメント)が発達してきている 家庭用蓄電池市場はベンチャー企業であるSonnet(ゾンネン社)の一強となった。設立後数年のベンチャー企業であるがすでに従業員数は400名もいる。売れ筋は2.5~5kWh程度の容量の蓄電池。IoT技術がセットになっており、天気予報と消費電力をアルゴリズムにて予測する。そして全国の同社の蓄電池同士で相互通信している。その結果、曇もあれば晴れもあるという地域による変動を平準化することに成功している。そうすることで自家消費率を80~85%にもすることに成功している。買い取り価格が安くなっているEUにおいては余剰電力を販売するよりも自家消費するほうが得であるため、自家消費率をあげることは非常に重要事項となっている。この理屈からすると、販売数が多い方が、平準化効果は大きいと思われる。そうなれば、一強の会社がますます強くなるという図式
風力発電、太陽光発電が証券化され、ポートフォリオの一環として組まれ始めている

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