家のカビ対策8つの方法|湿度70%の境目と結露を止める順序
この記事のポイント
- カビは相対湿度70%以下だと生えにくい。人間の体感は絶対湿度だが、カビは相対湿度に反応する。
- 梅雨から夏は相対湿度60%をキープ。再熱除湿を使わないルームエアコンの実質限界がこの値。
- 居室で最も結露するのは寝室の北側の窓の下枠。6〜8畳に3〜4人が一晩中水分を出す。
- 浴室のカビは薬剤から逃げた胞子が天井に残る。生えたら月1回は天井まで清掃する。
- エアコン内部は冷房でカビる。プロ清掃は1万5,000円〜2万5,000円。加熱除菌なら週1回で済む。
なぜ家にカビが生えるのか?
家にカビが生える原因とは、相対湿度が70%を超える状態が続くことです。カビは相対湿度に敏感で、70%を超えると急激に発生しやすくなります。人間の体感は絶対湿度に比例するため、体が乾燥を感じている冬でも、壁や窓の表面付近だけが70%を超えていることがあります。
梅雨は窓を閉めていても70%を超える
梅雨に入ると外気の相対湿度は77%程度になります。雨がザーザー降っている日はほぼ100%に近づきます。窓を開ければ湿気がそのまま入ってきますが、閉めていてもじめじめします。
梅雨が始まったら、エアコンのドライ運転か除湿運転をしていないと、家の中は70%を軽くオーバーし続けます。この状態を抑えなければ、掃除をどれだけしてもカビは戻ってきます。
冬に低温部があると、そこだけ相対湿度が上がる
冬の外気はよく乾燥しています。それでもカビが生えるのは、暖房の使い方に理由があります。
「いる部屋だけ暖房する」という使い方をすると、暖房していない部屋の壁や床の表面温度が下がります。空気中の水分量が同じでも、温度が低いほど相対湿度は高くなります。部屋の中央の湿度計が問題のない値を示していても、冷えた壁の表面付近だけが70%を超えている状態が起こります。
だから対策は季節で分かれます。梅雨は除湿、夏は冷房、冬は低温部をつくらない。この3つが基本です。ほとんどの家がこれを実現できていないため、ほとんどの家にカビが生えています。
カビを防ぐ8つの方法とは?
カビを防ぐ8つの方法とは、湿度管理・低温部の解消・窓の性能・清掃・機器の手入れ・住まい方の6分野にまたがる対策のことです。核になるのは梅雨から夏に相対湿度60%をキープし、冬は家全体を暖めて低温部を作らないという2点で、残りはその補強にあたります。
8つの方法の一覧
| # | 方法 | 対象 |
|---|---|---|
| 1 | 梅雨から夏は相対湿度60%をキープする | 住まい方 |
| 2 | 冬は家全体を暖め、低温部を作らない | 住まい方 |
| 3 | 樹脂窓で下枠の表面温度を高く保つ | 新築 |
| 4 | 浴室にカビが生えたら月1回天井を清掃する | 既存・新築 |
| 5 | 網戸をきれいに保つ(南側の大窓は外す) | 既存・新築 |
| 6 | 冷房で使うエアコンを定期清掃する(加熱除菌機能) | 既存・新築 |
| 7 | 無垢フローリング+床下エアコン+高気密にする | 新築 |
| 8 | 洗濯物は洗う直前まで洗濯カゴに入れる | 住まい方 |
※1・2が最も効果が大きく、3〜8はその補強にあたる。
なぜ相対湿度60%が目標になるのか
70%が境目なら60%は余裕を見た値ですが、この数字にはもう1つ理由があります。再熱除湿という機能を使わないルームエアコンでは、60%以下まで下げるのが実質の限界です。つまり60%は「安全側の目標」と「機器で届く限界」が重なる値です。
運用は単純です。梅雨に入ったら窓を閉める。相対湿度が60%を切る時期になったら窓を開けて過ごす。9月末から10月ごろに再び開けられるようになります。
24時間の全館暖房は贅沢ではない
「家全体を24時間暖めるのは贅沢ではないか」と言われることがあります。高断熱高気密住宅においては贅沢ではありません。
冷たいコップを想像すると分かります。冷たい水を入れた表面は結露しますが、ぬるい水なら結露しません。冷たい場所をつくると結露が発生し、放置するとカビが生え、カビを放置するとそれを食べるダニまで発生します。この悪循環の入口が低温部です。全館暖房は快適性のためだけでなく、衛生的に暮らすための手段でもあります。
家の中で最も結露しやすいのはどこか?
家の中で最も結露しやすい場所とは、浴室と洗面脱衣を除けば寝室の北側の窓の下枠です。川の字で寝る6〜8畳の部屋には3〜4人が一晩中水分を出し続けるため、居室の中で水分量が最も多くなります。起床時に最初に目にする場所でもあります。
樹脂窓か樹脂アルミ窓かで結果が分かれる
松尾が2010年ごろから樹脂窓を推してきた理由は、省エネだけではありません。人間が喉の乾燥を感じないところまで加湿しても、窓の下枠が結露しないかどうか。この一点が重要だと考えているからです。
そして境目は窓の種類で決まります。温暖地の小さな窓を例外とすれば、樹脂アルミの窓は下枠が確実に結露します。「結露していない」という場合は、加湿が足りていないだけです。物理は正直で、条件がそろえば現象は必ず起こります。
リフォームでは3つの選択肢がある
| 方法 | 効果 | 費用の性格 |
|---|---|---|
| 樹脂窓(新築・窓交換) | 下枠の表面温度が上がり結露しにくい | 初期費用のみ |
| 内窓を付ける | 内窓の内側はほぼ止まる。外窓側は止まらないこともある | 一括または分割 |
| ウィンドウラジエーター | 窓の表面温度を上げて結露しにくくする | 電気代が続く |
※内窓は隙間を通って水蒸気が外窓側へ回るため、外窓の結露が完全に止まるとは言えない。ただし付けないより改善する。
内窓は費用が大きいため、一括で払うか、一括が無理なら分割で払い続けるかという選択になります。ウィンドウラジエーターは初期費用を抑えられますが、電気代が続きます。
布地のカーテンはカビの温床になりやすい
カーテンを閉めると冷気が降りて来にくくなります。ただし副作用があります。布地のカーテンの裾が結露に触れ、濡れたまま放置されるとカーテン自体にカビが生えます。半分近くの家でカーテンがカビているという調査結果もあります。
結露する窓を使っているなら、布地のカーテンは避けたほうが無難です。高断熱窓に替えているなら、デザインで選んで問題ありません。
浴室と洗濯機のカビはなぜ再発するのか?
浴室のカビが再発する理由とは、薬剤で攻めると胞子が天井へ逃げ、時間が経ってから戻ってくることです。浴槽・床・壁だけを清掃して天井を残すと、この循環が終わりません。洗濯機も同じで、汗を含んだ衣類を入れたままにすると洗濯槽の裏にカビが生えます。
天井を残すと胞子が生き残る
ほとんどの人は浴槽・床・壁を熱心に清掃しますが、天井をやりません。カビ取り剤で攻められた胞子は上へ逃げ、ほとぼりが冷めた頃に天井から復活します。
対策は、生えたら月に1回は天井まで清掃することです。生えていないなら月1回の必要はありません。薬剤はカビ取り剤かアルコールで足ります。
ただしたわしなどで擦らないこと。表面のコーティングに傷が入ると、その傷に菌が入り込んで本当に取れなくなります。引っ掻き傷のつかない方法で清掃してください。
洗濯機は洗濯槽の裏がカビる
部活で汗をかいたTシャツを、そのまま洗濯機に放り込む人がいます。これをやると洗濯槽の裏にカビが広がります。洗っているつもりで、カビを衣類に付着させていることになります。
縦型はまだ湿気が上に抜けますが、ドラム式は抜けません。横型のドラム式が増えているため、この習慣の影響は以前より大きくなっています。
対策は単純です。洗濯物は洗う直前まで洗濯カゴに入れ、洗う瞬間に洗濯機へ入れる。松尾設計室では引き渡しのときに必ずこの説明をしています。
エアコンと網戸はどう手入れすればいいのか?
エアコンと網戸の手入れとは、カビの発生源と侵入経路を断つ作業のことです。エアコンは冷房で使うと内部にカビが生え、プロの清掃には1万5,000円から2万5,000円かかります。網戸はホコリにカビ菌が付着し、通過する空気が室内へ運び込みます。
自動洗浄機能で取れるのはホコリだけ
ホコリを自動洗浄する機能が付いた機種がありますが、あれで取れるのはホコリだけです。
暖房として使う分には問題ありません。冷房として使うと内部にカビが生えます。特に2年3年と使い続けると顕著になり、オンオフを繰り返すほど生えやすくなります。空気の動きが止まるためです。
松尾設計室が冷房で24時間連続運転を推奨しているのは、快適性と電気代の理由に加えて、内部にカビが生えにくいという理由もあります。それでも絶対に生えないとは言い切れません。
| 対策 | 頻度 | 費用 |
|---|---|---|
| プロ業者の清掃(掃除機能なしの機種) | 2年に1回 | 約1万5,000円 |
| プロ業者の清掃(掃除機能付きの機種) | 2年に1回 | 約2万5,000円 |
| 加熱除菌機能で自分で行う | 週1回・約50分 | 電気代のみ |
※加熱除菌は内部を約55度まで加熱する。部屋が暑くなるため留守のあいだに実行する。
台数が多い家では、そのたびにプロを呼ぶのは現実的ではありません。加熱除菌の機能が付いた機種を最初から選ぶという判断があります。松尾がよく使う富士通ゼネラルの機種にこの機能があり、メーカーのエンジニアによる推奨頻度は週1回です。
汚れた網戸がカビ菌を運び込む
外気にはカビ菌が飛んでいます。網戸にホコリが付きっぱなしになると、そこにカビ菌が付着し、通過する空気が室内へ運び込みます。汚れた網戸がカビの発生原因になっている事例があります。
窓を開けてよい時期は4月・5月・10月です。花粉症の人は4月・5月も閉めたほうが無難です。
そして松尾が推奨しているのは、南側の大窓の網戸は、使う時期以外は外して小屋裏収納などにしまっておくことです。普通の住宅には窓が20数箇所あるので全部とは言いませんが、大窓だけでも効果があります。見た目がきれいで、汚れず、傷まない。そして日射取得量が増えます。網戸を通した日射と通さない日射では、床の温度が触って分かるほど違います。
まとめ:カビ対策は湿度と表面温度の2つに集約される
8つの方法は、次の3点に整理できます。
- 相対湿度70%を超えさせない —— 梅雨から夏は60%をキープ。目標値と機器の限界が重なる値
- 低温部をつくらない —— 冬の全館暖房と樹脂窓。結露が生まれる場所そのものを消す
- 発生源と侵入経路を断つ —— 浴室の天井、エアコン内部、網戸、洗濯槽の4箇所
まず自宅の湿度計を確認してください。梅雨から夏に70%を超えているなら、掃除よりも除湿が先です。そのうえで窓の下枠が結露していないかを朝に見てください。結露しているなら、窓の性能が対策の起点になります。
よくある質問
- カビは湿度何%から生えやすくなりますか?
-
相対湿度70%が境目です。70%を超えると急激に発生しやすくなります。目標は余裕を見た60%です。人間の体感は絶対湿度に比例するため、体が乾燥を感じている冬でも、冷えた壁の表面付近だけが70%を超えていることがあります。
- 梅雨や夏はエアコンをどう使えばいいですか?
-
梅雨に入ったら窓を閉め、ドライ運転か除湿運転で相対湿度60%を保ちます。暑くなったら冷房に切り替えます。相対湿度が60%を切る時期になれば窓を開けて構いません。9月末から10月ごろに再び開けられるようになります。
- 窓の下枠の結露はどうすれば止まりますか?
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新築なら樹脂窓を選ぶことです。樹脂アルミの窓は温暖地の小さな窓を除いて確実に結露します。既存住宅では内窓を付けるか、ウィンドウラジエーターで窓の表面温度を上げます。内窓でも外窓側の結露は止まらないことがあります。
- 浴室のカビはどこを掃除すればいいですか?
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天井です。浴槽・床・壁だけを清掃すると、薬剤から逃げた胞子が天井に残り、時間が経って復活します。生えている場合は月に1回、天井までカビ取り剤かアルコールで清掃してください。たわしで擦ると傷に菌が入るため避けます。
- エアコンの内部のカビはどうすればいいですか?
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冷房で使うと内部に生えるため、2年に1回のプロ清掃か、加熱除菌機能での自己対応になります。プロ清掃は掃除機能なしで約1万5,000円、掃除機能付きで約2万5,000円です。加熱除菌は週1回・約50分で内部を約55度まで加熱します。
- 洗濯物を洗濯機に入れておくとどうなりますか?
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洗濯槽の裏にカビが広がります。汗を含んだ衣類を入れたままにすると特に進み、洗っているつもりでカビを衣類に付着させることになります。縦型はまだ湿気が抜けますが、ドラム式は抜けません。洗う直前まで洗濯カゴに入れてください。