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水分が目に見える加湿器はおすすめしません

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住宅実務者、一般の方を問わず日本人の7割から8割の大人が「雲は水蒸気である」と考えていることを以前おつたえしました。これは1000名を超える挙手にて確認しているのでかなり正確だと思います。雲の正体は水か氷のどちらかが小粒になって空中に浮いているものです。しかし大半の方があの白い霧上のものが水蒸気だと考えています。

中学か高校で物質には固体、液体、気体の3つの状態があると習います。水の場合それぞれ、氷、水、水蒸気となります。気体は通常目に見えないものです。よって目に見えているという時点で絶対に水蒸気ではないことになります。

では皆さんが風呂場や加湿器の上で見ているあれをどう呼ぶのが正確なのか?

風呂の上で見るものは「湯気」という一般用語であれば間違いではないと思います。加湿器の上で見えるものは全部は湯気というわけにはいきません。最近では随分減りましたが、スチーム式と呼ばれる加湿器があります。これは電熱線で水を温めて気化させるのでまさにお風呂と同じ原理です。その結果も同じで湯気がでます。一般的に湯気というものは暖かいお湯がそれなりに温度が低い場所で気化するとすぐに水の小粒に戻る(液化)することで目に見えるようになる現象を指します。

それに対して、雑貨屋さんに売っているような加湿器、ペットボトル型の加湿器はほぼ間違いなく超音波式と呼ばれる方式です。これは水に超音波(=微振動)を与えることによって常温のまま水を小粒化してそれを空中に飛ばす方式です。手動で水を小粒化する装置を「霧吹き」と呼びますが、これは機械の力で水を小粒化する装置といえます。このようにして出来た水の小粒を「湯気」と呼ぶのは誰しも納得いかないと思います。強いていうのであればやはり「霧」というくらいしかないのかと思います。

スチーム式や気化式の場合、水分中の塩素はもちろんのことカビや雑菌があったとしてもそれらは本体内にとどまり、空中へ拡散させられることはありません。結果として長く使っていると塩素が本体内で析出してきたりします。逆に超音波式の場合、こういったものをなりふり構わず一緒くたに空中に拡散する性質があります。内部がきれいに保たれていればカビや雑菌を撒き散らすことはありませんが、汚れている場合はまずいです。仮にきれいだとしても塩素は確実に撒き散らします。その結果、静電気的に家電製品は特に塩素で真っ白になることがみかけられます。

このように超音波式の加湿器によって発生する病気を一般的に「加湿器病」といいちょっと検索するだけでも大量にひっかかります。

水分が目に見える加湿器はおすすめしません

このような理由から超音波式は勧めていません。一度ためしに使ってみたこともあるのですが、説明書には50cmより高いところに置いてくださいと書いてありました。その理由は使ってみると明白で水の小粒は空気より全然重たいので特に室温が低い場合、気化せずに地面まで水のまま落ちてきます。床はベトベトになってきます。高さが高いほど落ちてくるまでの間に気化できる確率が上がるのでこのような説明となっているものと思われます。

スチーム式はスチーム式で熱を大量に必要とするので多くの電気を消費します。また先日説明した気化式のように空気が湿っていてもお構いなく加湿しつづけるのでクロスやシーツ等が湿っぽくなったりすることもあります。

気化という現象は表面積を広くしてあげると気化しやすくなります。一番わかり易いのは洗濯物干しです。畳んだままだとなかなか乾きませんが広げると早く乾きます。水も容器にまとまって入っている状態だと空気に触れる面がごくわずかしかありません。霧のように小粒化すると熱を与えなくても表面積が広くなることによって気化しやすくなる原理を使っています。よって上述のように気化せずに床にそのままおちてしまった水は空気を加湿してはいないのです。

小粒化すると表面積が増えるというのを模式的に表したのが下表です。たった八分割にするだけでも表面積は二倍にもなるのが分かります。

水分が目に見える加湿器はおすすめしません

いろんな会社のオフィスを拝見する機会があります。加湿器はどの方式でも置いてないより置いてる方がいいと思います。ただ置いてても大半が超音波式です。もともとの加湿量も少なく、さらにファンの力も弱いこと相まって置いてある場所のごく周辺しか加湿されていない可能性が高いです。

私どもでは大型の気化式加湿器しか勧めてませんが、かなりの風量があります。しかし、目に見えるものはなにも出てこないのでほとんどの方には加湿している実感が乏しいとも言えます。

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