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冷点が少ない足元のほうが寒く感じる理由

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冷点が少ない足元のほうが寒く感じる理由
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ここからは昨日の続きです。なぜ冷点が少ない足元の方が寒く感じるのか?
端的に行ってしまえば、一般的なほとんどの住宅が床及び床付近の空気温度が
低いことが理由です。
例えば、次世代省エネレベルの住宅でエアコンにて室温20℃設定とした場合、
頭の高さくらいは20℃でも床温度は17℃くらいになっていることがほとんどです。
仮に頭の部分の冷点が感じる室温を20℃、平均放射温度を18℃とすると
先日紹介したPMVは-1.12となります。(約30%の方が寒さを感じる程度)
他の条件はまったく同じで足元の冷点が感じる室温は17℃、平均放射温度も17℃とすると
-1.676にまで悪化します。(約60%の方が寒さを感じる程度)
普通PMVは一人の人が感じる温熱指標として使うのですが、今回はわかりやすくするためにあえて冷点ごとに
比較してみました。
人一人の中にも膨大な数の冷点が存在します。そのそれぞれの冷点が脳に対して「どのくらい冷たいのか」
という情報を送っています。その大半が「暖かい」という情報を出し、足元のごく一部だけが「冷たい」
という情報を出しているとします。
PMVではこれらは全体として平均化されてしまいますが、どうやら人間は平均値で快不快を感じるという
ものではないようです、一箇所でも不快なところがあるとそこの不快さが強烈に脳に「寒い」と感じさせる
ように思います。
これは夏においてもいえます。昔ためしに、床下エアコンの冷気を床下に流したことがあります。
(絶対にやらないで下さい)確かに床は冷えるのですがまったく快適になりません。
夏の場合、暑い空気は上に上がるので足元よりも頭部の方が暑くなるのが一般的です。
そうすると温点ごとのPMVという考え方をすると足元が涼しくても「頭が暑い」という
情報を脳に伝えてしまいます。その結果平均的には涼しい温度を実現していても「暑い」
と感じてしまうというわけです。
これらから見ると、冬は床が冷たくないことが非常に重要であることが分かります。
ISO(国際標準化機構)の基準では上下温度差の理想値は3℃以内となっています。
この値は高性能住宅であれば、かるがるクリアできる値です。それでも室温が
20℃でも床温度が17℃であれば決して「暖かい」という感覚は得にくいものです。
だから当社では床下にエアコンの暖気を送り込むことで床温度を「冷たくないように」
保っています。一般的な床暖房の場合、表面温度は30℃を超えることもありますが
これまたISOによると理想的な床温度は19℃から26℃となっており、もっとも満足度が
高いのは24℃付近となっています。また床30℃、室温18℃とかになると上下温度差は
12℃にもなり、これはこれで不快になります。
これも私なりの考えですが、足元の冷点は「暑い」といっているのに頭の冷点は「寒い」
といっている。人間には自立神経という名の体温調節機能がありますが、こういうあべこべな
状態だと自律神経自体訳がわからなくなって適切な体温調整が難しくなるのではないかと思います。
同様に夏の観点から見ると、特に2階や下屋においては上部からの輻射熱をできるだけ
遮るという意味から屋根、天井の断熱性が非常に重要であることが分かるかと思います。
子どもの教育や組織の発展には「長所伸展法」が良いとされていますが、こと
室内環境に関しては「短所改善」が重要である。
⇒いつものお約束ですが窓の高断熱化が最重要ということでまとめとさせていただきます。

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