夏涼しい家にしたい
夏涼しくするためには「通風が重要」だと思われている方、お気づきかもしれませんが、20年前なら通風でもある程度しのげたかもしれませんが、今は「絶対に」不可能です。2019年だけはここ10年程度の間で唯一ある程度涼しい年でした。その他の年は毎年35℃オーバーが一般的になってきています。通風でしのぐということは仮に風が吹いているとしてもその風は冷風ではなくエアコンの温風温度に限りなく近い35℃の温風でしかないということになります。しかもその温風にはエアコンのように乾いた温風ではなく大量の水分を含んだ温風なのでたちが悪いのです。参考までに田園地帯で立てた住宅の夏の付近の熱画像をお見せします。私が一番驚いたのですが、田んぼの水面が39℃もあったのです。こんな田園地帯ですらこういう時代なのです。
エアコンで冷房しているということは温度を下げると同時に大量の水蒸気を結露させて水に変化させています。その後出来た水分はドレン配管を通して外に捨てられます。このようにお金を支払って買っている電気をエアコンに投入してやっと温度と水分を外に捨てている。。。これがエアコン冷房のやっていることです。にもかかわらず、多くの方が夕方までエアコンをつけておきながら夜になったらエアコンを消して窓を開けようとしたりします。これをやった場合、その瞬間に今までお金をかけて外に捨てていた熱と水分をわざわざ取り入れることになってしまいます。
かといって、通風が一切無駄というわけではありません。夏の通風は完全にアウトですが、5月と10月に関しては通風は実に気持ちいいものですしおすすめです。ただし、5月に関しては花粉症の方は窓を開けると非常に辛いと思います。家族が数人いればひとりくらいは花粉症がいる時代です。そう考えると5月も開けにくい家のほうが多いかもしれません。
余談が長くなりましたが、通風が重要対策でないとしたら何が重要なのでしょう?大きなポイントが2つあります。一つは完璧な窓からの日射遮蔽です。東西北面に関しては遮熱Low-Eというガラスを使います。ここまではどこの住宅会社でもよく実施されています。しかしこれだけでは涼しくなりません。
「東西北面の窓に関しては一部屋一面につき0.5㎡以内にする。」
これくらいやってちょうどいいくらいになります。これを守れている住宅はめったにみかけません。
南面の窓に関しては高さ10に対して出幅3の庇をつける。もしくはアウターシェードという外付けの日射遮蔽商品をつけるかが必要になります。南面が真南から20度程度以内である場合は庇でも効きます。それ以上振っている場合はアウターシェードによる対策が有効です。
もうひとつ重要な対策が屋根の断熱です。これが不足している現場が圧倒的に多いです。グラスウールだと最低でも180mm以上ほしいところ。厚ければ暑いほど屋根の高熱が伝わってきにくくなります。
上記2つが最も重要なのに大半の会社が出来ていないポイントです。しかし、最近増えてきたもうひとつの重要ポイントがあります。それが黒い外壁です。黒い外壁の表面温度は白っぽい外壁に比べると10℃以上高くなります。これはかなりの悪影響を及ぼします。これからさらに地球は温暖化していくことを考えると極力黒い外壁は使わないことを強くおすすめします。
なお、これらの対策がきちんとできている場合、かつ冷房設計と運転が適切に行われる場合、8月24時間冷房を運転し、家中27℃に保っても一ヶ月の冷房費は4000円前後でおさまったりします。普通の住宅では考えにくいと思いますが事実です。